経済

2025.06.01 15:15

「ふるさと納税1兆円時代」にビリオネアたちは? 最高額3億円、返礼品は『9千万円の別荘』

Getty Images(写真はイメージ)

日本ワイン振興にも活用できるふるさと納税

日本ワイン振興への活用も見逃せない。成功例として注目を浴びるのが、北海道余市町だ。余市町を「ワインの街」として打ち出した齊藤啓輔町長の強烈な求心力により、2017年度に6000万円だった寄付額が、2024年度には15億円(決算ベース)へと急増。ドメーヌタカヒコを始め、返礼品として出品されるワインは、サイトでは数時間で売り切れるものもある人気ぶりだ。歳入増を財源に、小中学校の給食費無償化、保育無償化など市民全体へ利益を還元する政策を打ち出している。

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出品は過去のイメージ画像
出品は過去のイメージ画像

全国初の自治体ワイン「十勝ワイン」で知られる北海道池田町もふるさと納税を活用している。かつて観光の拠点だった「ワイン城」を改修するためGCFを実施し、計3千万弱の寄付金を集めた。ツーリズムを促進し街の交流人口を増やすことも、ふるさと納税の狙いの一つだ。

「各地域の特長を活かした魅力的な産業創出をサポートしたい」と語る福留氏。「日本ワインなら、例えば地域の山葡萄を利用したワイン造りのように、日本らしい挑戦をしてほしい。ふるさと納税は、その一歩を後押しする”踏み台”として活用してもらえれば」と期待を込める。

ふるさと納税は、寄付者だけでなく事業者にも多くの恩恵をもたらす。年間寄付の約3割は地域の事業者に直接届き、事業者自身が地域のために返礼品を提供することで、「自分たちの商品が地域の顔になっている」という誇りや責任感が芽生える。その結果、品質向上や地域貢献への意識も自然と高まっていくだろう。

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一方、ワイン愛好家にとっては、自己負担二千円で全国各地の日本ワインを試せる“壮大な試飲会”ともいえる。ワインを楽しむことが、その地域、さらには日本のワイン産業全体を応援することにつながるのだ。

10月にはポイント廃止 ポイント合戦収束か?

現在、ふるさと納税の利用率は約20%。返礼品や節税目的が主な動機となっているが、寄付者の意識も徐々に変化しつつある。新型コロナ禍における医療従事者支援や、能登半島地震に対して約20億円の寄付が集まるなど、社会課題の解決を目的とした寄付の広がりがその証だ。「今はまだ“官製EC”というイメージが根強いが、本来の目的に沿って、より意義ある形に進化させていきたい。地方には課題が山積しているが、この制度には大きな可能性がある」と福留氏は将来を見据える。

トラストバンクはこれまでも、寄付や応援の本質を損なうようなポイント付与には消極的な姿勢を貫いてきた。今10月の制度改正によりポイント付与が禁止されれば、加熱していた“ポイント合戦”も収束し、「自分の税金の使い道を自ら選ぶ」という、制度の原点を思い出す契機となるだろう。

「自分の趣味と地域の掛け算で、ふるさと納税市場を見てもらえれば。どんなテーマでも、日本の地方の取り組みに目を向けるきっかけとして活用してほしい。それが結果として地方創生につながる」と福留氏。その言葉通り、ふるさと納税は単なる制度ではなく、自分の意思で社会に関わる手段でもある。その扉を開く鍵は、私たちの“選ぶ力”にあるのかもしれない。

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