ビジネスを立ち上げるのは、ただでさえ難しい。その上、パーソナルブランドを確立するとなれば、なおさらだ。しかし、今日の創業者、幹部社員、クリエイターは、扉の向こうに隠れたままでは、社会で信頼を築けないと知っている。表舞台に立ち、明確で一貫性のある、本質的な言葉で語ることで、信頼が積み上げられていくのだ。
企業のブランディングとは異なり、パーソナルブランディングの場合、きらびやかなロゴやマーケティングといった手札に隠れることはできない。現代の人々は、ただ製品を買うだけでなく、信頼を買っている。そして信頼の端緒は、あなたが対面で、あるいはオンラインで、その他のさまざまな場面で、どんなふうに自分を演出するか次第だ。
現代のトップリーダーがいかにパーソナルブランディングを再考し、ビジネスの成功につなげ、ますます競争が激化する市場で差をつけているのかを、以下で見ていこう。
パーソナルブランディングは、今やリーダーシップスキルのひとつ
幹部社員がひそかに裏方から企業を率いることができた時代は、もはや過去のものだ。2025年の今では、消費者もパートナーも投資家も、自分が支えているブランドを経営する人物について知りたいと思っている。
FTI Consulting (FTIコンサルティング)の調査はこうだ。プロフェッショナルの92%は、幹部社員がソーシャルメディアで活発に発信している企業をより信頼すると回答した。SNSを活用する幹部社員が4人以上いる会社は、3人以下の会社と比べて、デジタルインパクトが38%大きかった。また、ビジネスリーダーによる投稿は、企業ページの投稿と比べ、3倍以上のコメントと2倍のエンゲージメントを獲得していた。
パーソナルブランディングは、セルフプロモーションとは異なる。パーソナルブランディングの「本質」は、最初の握手や基調講演やビジネスピッチの前に信頼を構築することだ。そして、現代における信頼は、ロゴやマーケティング戦術を通じてではなく、嘘偽りのない一貫した人間的つながりから生まれる。
ブランド構築は、LinkedIn(リンクトイン)への投稿だけでは足りない。大切なのは、自分の公的なプレゼンスを、自分の価値観や強み、リーダーシップスタイルと、演技ではなくリアリティを感じられる形で調和させることだ。パーソナルブランドをうまく確立できれば、コールドピッチ(面識のない相手へのビジネスの提案)では決して得られないようなチャンスを獲得できる。
4人の専門家の実例から、彼らが嘘偽りのないパーソナルブランディングの技術をいかにマスターしたのか、そこからすべての役職のリーダーが学ぶべき教訓とは何かを見ていこう。



