1. 戦略を立てる前に「自分」を知る
Small Business Cultivator(スモールビジネス・カルティベーター)の創業者アマンダ・クイックにとって、パーソナルブランディングの始まりはマーケティング計画ではなかった。同氏はまず、自分自身について内省したのだ。
「私は当初、パーソナルブランドを構築するつもりはありませんでした。けれどもそのような機会がめぐってきて、表舞台で話すようになり、何が聴衆に響くのか、何が自分にとって本物と感じられるのかを考えるようになりました」。
長年にわたるクライアントとの仕事、内なるマインドセットの切り替え、そしてブランドストラテジストとの協働による、自身の強みに関する言語化により、クイックは、トレンドではなく真実を基礎としたブランドを構築した。「聞こえのいい言葉を並べるのではなく、私自身がどんな人物なのか、私がクライアントとどう接してきたのかに関する真実を軸にしました」。
クイックのアドバイスは明白だ。小手先のブランディングのチェックリストは無視しよう。自分が本当に楽しめるものは何なのか、自分は何を信じているのか、ありのままの自分が提供できるものは何なのかといった、本質的な問いを自問することから始めよう。
2. 投稿だけでなく、生き方を反映したブランドを構築する
ブランディ・スパーリングはSage Culture Co.(セージカルチャー)を立ち上げたとき、インターネット向けに、自分を理想化するなど美化したイメージを作り上げることに興味がなかった。「ステージ上の私を見た人に、実際に会って幻滅されるのは嫌だったのです」と、同氏は明かす。
そこでスパーリングは、どの基調講演でも、握手の際も、クライアントとの打ち合わせでも、自身をそのまま体現できるようなブランドを構築した。イベントではいつでも緑か青のジャンプスーツを着るほどまでに、徹底して一貫性にこだわったのだ。「オンラインでは編集も、一時停止も、修正もできます。けれども対面では、リアルタイムで率直さが求められます」と、同氏は語る。
こうした一貫性へのコミットメントが実を結んだ。スパーリングは2024年、85件以上の講演依頼を受けた。それも、すべてが直接の紹介によるもので、有料広告のおかげではなかった。
スパーリングの戦略は、こう要約できる──ただメッセージを聞いてもらうのではなく、感じてもらう。そして、狙い通りのオーディエンスの共感を得られると信じることだ。


