5. 自主的に成長に向けて取り組む
率直にいって、上司は忙しい。本当に忙しいのだ。マネージング・アップの手法の中でも最も効果的なのは、部下が、自身の能力開発や成長に関して、完全に自主的に取り組み、結果を出すことだ。すなわち、以下のような姿勢を持つことを意味する。
・1対1のミーティングには、アジェンダや最新情報、明確な要求を持って参加する
・先を見越した視点に立ってフィードバックを求め、それに基づいて行動する
・現状に満足せず、さらに高度な業務や、メンターとしての教えを求める
・自身の目標を伝え、自身の成長度合いを常にチェックする
・プロフェッショナルとしての能力開発プランを自ら作成し、上司の意見を求める
部下が能力開発に自主的に取り組めば、上司の負担を軽減すると同時に、自分自身の自発性やリーダーとしての適性を示せる。
6. チームをまとめる「接着剤」の役割を果たす
管理職の最も重要、かつ見過ごされがちなタスクのひとつは、配下チームの意思統一を図り、モチベーションを持たせ、協力して仕事に取り組めるようにすることだ。部下であるあなたがチームを結束させる力になれば、上司の負担を軽減しながら、自らのパーソナルブランドも強化できる。
チームメートにサポートを申し出よう。喜ばしい成果を大いに祝おう。新規採用者のオンボーディングを助けよう。チームでの昼食会の幹事を引き受け、ブレインストーミングを主導し、ランチ&ラーニング・セッション(昼食時に自主的にスキルアップを図る企画)の発表役を担い、メンバー間でいさかいが起きた時は、その解決に務めよう。
こうした努力に、上司は目を留めてくれるだろう。さらに重要なのは、チームの仲間たちも気づくという点だ。こうして生まれた良い評判が、組織内での信頼感や影響力の礎(いしずえ)となり、自分がリーダーの条件を備えていることを裏付けてくれるはずだ。
マネージング・アップは、人の目に留まるために最も効果的な方法
マネージング・アップの本質は、上司の「ために」働くことではなく、上司と「共に」働く点にある。信頼と明確さ、そして双方にメリットをもたらすという視点に基づいた関係の構築が大切だ。
上司の負担軽減に貢献できれば、部下は信頼を得ることができる。上司の目標を自分の目標とすれば、戦略的な視点を一致させられる。そして、自らの成長や仕事、所属するチームに関して自発性を発揮すれば、上司や勤務先の人たちの目に留まるような、リーダーとしての資質を示せる。
端的にいえば、マネージング・アップは、上司にとって役立ち、企業にとっても最高で、何よりも、自分のキャリアにとって抜群の効果を発揮する手法なのだ。

