1. 上司の人となりを深く理解する
マネージング・アップの起点となるのは、共感と配慮だ。誰かにとって役立つ人間になりたいのなら、手を差しのべる相手のことを理解する必要がある。
上司の仕事スタイルや、ストレスの引き金となる事柄、成功の原動力を把握することを、自分のミッションとしよう。上司は、何を最重要課題と考えているのだろうか? 重要な評価基準は? 仕事の障害、あるいは後押しとなっている要素は?
さらに、仕事の領域を超えて、上司のパーソナリティについて知ることも必要だろう。何に価値を置いているのか? 心を明るくするもの、逆に苛立たせるものは何か? といったことだ。何も大親友になる必要はないが、上司にとって何が重要なのかを知れば、それだけ意味のあるサポートを提供できる確率が高まる。
特に重要なのは、上司が好むコミュニケーションスタイルを把握することだ。箇条書きで簡潔に表現した報告しか受け付けないのか? メールよりもSlackを好むのか? 前後の状況を知りたがるのか、それとも結論だけを聞きたいのか? 自分の好みは脇に置いて、上司が好むスタイルやリズムで伝えることを心がけよう。
具体的に試してほしいことがある。次の1対1のミーティングや進捗確認ミーティングで、上司にこう問いかけるのだ。
・「仕事の中でもっとお役に立ちたいのですが、そのために一番必要とされる事柄は何でしょうか?」
この質問は、上司への配慮を感じさせながら、必要な知見を得るのに役立つはずだ。
2. 起きたことに反応するだけではなく、先を読んで行動する
やるべき仕事をこなすだけでは、「良い従業員」どまりだ。リーダーの資質を備え持つ「ひときわ優秀な従業員」は、この先に何が起きるかを予測し、前もって準備を整えておくものだ。
上司の優先事項や、悩みがちなポイントを把握していれば、実際に要望が耳に入ってくる前に、ある程度は予測できる。具体的には、以下のような準備をしておくといいだろう。
・問題が深刻化する前に、「要注意」のラベルをつけておく
・投げかけられそうな質問には、あらかじめ答えを用意しておく
・上司が必要性に気づいていないと思われる背景情報を伝える
1週間の仕事が始まる月曜の朝に、上司がどんな状況にあるのか事前に予測し、なおかつ準備をしておけば、上司にとって手放せない「右腕的存在」にかなり近づけるはずだ。

