北米

2025.05.20 15:00

空飛ぶトランプ宮殿? カタール王室が「お荷物」豪華ジェットを喜んで譲りたい裏事情

カタール政府が所有・管理するカタール・アミリ・フライト社のボーイング747(Photo by JoanValls/Urbanandsport /NurPhoto via Getty Images)

整備やセキュリティ確保に要する巨額な費用

そんな中、カタールは、この747-8型機を米国に譲渡することで「巨額の整備をコストを削減できる」と元航空整備士で米国家運輸安全委員会(NTSB)の元委員であるジョン・ゴグリアは指摘する。747機の数が世界的に減少するにつれ、整備できる技術者も減っており、コストは上昇している。カタール王室は、2020年にこの航空機を売りに出した際に、この機体が2024年に着陸装置のオーバーホールが必要で、2027年には12年点検が必要だと記していた。12年点検は、機体とエンジンを分解して行う作業で、完了までに数カ月がかかり、費用は数百万ドル(数億円から十数億円)にのぼるとされている。

advertisement

一方、ボーイングが2018年に39億ドル(約5655億円)で受注した大統領専用機2機の新造計画が長年遅延していることに苛立つトランプは先日、カタールから747-8型機を受け取れば米国の納税者の負担を数億ドル(数百億円)削減できる主張した。「この贈り物を我が国のために受け取らないのはバカだけだ」とトランプは自身のSNSに投稿した。

しかし、航空宇宙の専門家たちはこの見積もりに懐疑的だ。この機体はまず内装を撤去して盗聴器などがないかを徹底的に調べる必要がある。そのうえで、暗号化通信システム、核爆発の影響から電子機器を保護するシールド、防空システムなどを搭載し、空中司令センターとしての役割に適した改修も要する。これらの作業をボーイングは2018年から進めている。アブーラフィアによれば、これをゼロから始めた場合、完成までには最低5年が必要だという。

「きちんと訓練を受けた空軍の上層部で、この案を良いという者がいるとは想像できない」と彼は述べた。民主党に加え一部の共和党議員も、外国からこのような高価な贈り物を受け取ることに倫理面での懸念を示している。

advertisement

カタールのしたたかな「戦略」

一方、イランやサウジアラビアのような強大な隣国を抱える小国のカタールにとって、このような贈与は、潤沢な財政資源を活用して同盟関係を築こうとする姿勢の一例でもある。カタールには中東最大の米軍拠点アル・ウデイド空軍基地があり、駐留する1万人の米兵を支援するため数十億ドル(数千億円から1兆円)を費やしてきた。

また、米国の大学やシンクタンクにも数十億ドル規模で寄付を行っており、トランプ一家とのビジネス関係も構築している。カタールでは現在、トランプブランドのゴルフ場が建設中で、同国の政府系ファンドは、トランプの娘婿のジャレッド・クシュナーとの共同投資も複数行っている。

トランプがもし、この747型機を受け取ったとしても、カタールにはまだ数多くの豪華ジェットが残っており、「王室はカタール航空のビジネスジェットも自由に使える」と、ビジネス航空分野コンサルタントのブライアン・フォーリーは指摘した。「彼らはこの飛行機がなくても困ることはない」と彼は語った。

SEE
ALSO

経済・社会 > 北米

スーパーサイズ・ミー! トランプが「ジャンボジェット」を欲しがるワケ

forbes.com 原文

編集=上田裕資

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事