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2025.05.23 13:15

幽霊・メタバース・元ラブホ…… 訳あり物件100の理由

Getty Images

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訳あり不動産の買い取りを専門に行うSA(エスエー)は、いわゆる訳あり物件が売れない理由を100項目に分類し公開した。その約半数は「伝統的トラブル型」という昔からある不動産トラブルに関連するもの。20件は技術の進歩から生まれた「技術・制度進化型」、残る約30件は現所有者の価値観のために売りにくい「ライフスタイル・価値観起因型」となっている。

なかには「こんなものまで?」とビックリするようなものもある。ここで100件すべてを掲載することはできないので、一部分だけを紹介しよう。

Getty imagsより
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伝統的トラブル型には、近ごろ話題の「事故物件」のほか、「騒音・振動トラブル物件」、「墓地・火葬場隣接物件」などよく耳にするものが含まれる。自殺や他殺があった事故物件は「心理的瑕疵」のある住宅のため売れないということだが、そのものズバリ「心理的瑕疵(心霊現象)物件」という項目もある。オバケが出る、怪現象が起きると風評のある物件だ。

また、売買時に警察の確認が必要となる「暴力団排除条例特別指定物件」、汚損や悪臭がひどい「ペット多頭飼育崩壊痕跡物件」、「工事途中で施工業者倒産物件」なんていう不動産屋泣かせのものもある。

「技術・制度進化型」には、いかにも今風のトラブルが並ぶ。誤報アラームで近所迷惑な「ホームセキュリティ過剰設定物件」、プライバシーが心配な「防犯カメラ多すぎ物件」、アプリに不具合があると生活に支障をきたす「専用アプリ必須マンション」、バーチャルと現物が違いすぎる「VR内覧乖離物件」、退去時に面倒な「サブスク家具・家電付き物件」などなど。さらに、権利の一部がNFT化され権利構造が不透明な「NFT権利付き物件」や、メタバース内の土地家屋を売買する「メタバース連動“仮想不動産”物件」なんていうものもある。メタバースサービスの一部には不動産の売買を可能にしたものがあるが、その資産価値は不安定だ。

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「ライフスタイル・価値観起因型」には、バリアフリー化を途中で断念してしまったためかえって使い勝手が悪化した「バリアフリー途中物件」、宣伝と実態が合致しない「”シニアに優しい”が段差だらけの物件」、イメージが悪い「オフィス街元ラブホテル物件」、一般需要がほとんどない「無人駅至近鉄道ファン専用物件」など、笑ってしまいそうな物件が多くある。

物件と一口に言っても内容はさまざま。ごく一般的な住宅でも売却に苦労するのが普通だが、ここまで「訳あり」だと頭が下がる。この訳あり物件100選は、物件の価値評価や取引成立を妨げる原因を「背景にある社会構造や暮らしの変化とともに捉えなおす試み」だとSAは話している。メタバースの物件を不動産業者に買ってもらおうなんて、ボードゲームのお金を銀行で円に両替してもらうようなものに思えるが、今後は笑いごとではなくなりそうだ。国境を超えた別世界であるメタバースでは不動産に関する法律はどの国のものが適用されるのかなど、トラブルも複雑化するだろう。これからの不動産屋さんは大変だ。

100件すべてを知りたい方は、SAの「2025年最新版 訳あり不動産100選」をご覧いただきたい。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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