AI

2025.05.24 10:00

「バイブス」と共にあれ―OpenAI アルトマンCEOやAI関係者が巻き起こした新旋風

OpenAIのCEOサム・アルトマン(Tom Williams/CQ-Roll Call, Inc via Getty Images)

バイブス旋風が巻き起こったきっかけ

バイブスをAI評価基準として取り入れるムーブメントを加速させた顕著なきっかけは、一般的にOpenAIのサム・アルトマンが、2025年2月と3月に行った一連のツイートにあるとされる。彼だけでなく、同様の路線をとるAIの著名人は他にもいる(余談だが、別のAI著名人が始め、多くのプロンプトに影響を与えている「バイブ・コーディング」なる現象についても別記事で取り上げる予定だ)。

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サム・アルトマンが米国時間2025年3月11日にXに投稿したバイブス言及の例を示そう:

「創作的な文章が得意な新しいモデルをトレーニングしました(リリース時期や方法はまだ不明です)。AIが書いたものに本当に打ちのめされたのはこれが初めてです。メタフィクションのバイブスを見事にとらえていました」。

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そして、その数週間前(米国時間2025年2月27日)におけるXの彼の投稿では、AIの「魔法」を考慮し、AIが「異なる種類の知性」を示すように変容しているという様子を描き出した:

「GPT-4.5は準備完了です! いいニュースとして、これは初めて『思慮深い人と話しているようだ』と感じるモデルです。AIから実際に優れた助言をもらって、椅子に深く座り直して驚いた瞬間が何度かありました」。

(中略)

「ただし注意してほしいのは、これは推論モデルではなく、ベンチマークを圧倒するわけでもありません。別の種類の知性で、今まで感じたことのない『魔法』があるのです。本当に多くの人に試してほしいと思います!」

AIコミュニティには、この「バイブス」という呼び名を歓迎する人々もいる。というのも、数値で測れる指標だけではすべてを語れないという、強い信念があるからだ。人間を測るときにも身長や体重などの定量的データだけでは不十分で、その人固有の「全体的な雰囲気」こそが重要な次元となる。同様にAIについても、そうした評価軸が必要だと彼らは考える。

一方でバイブス懐疑派は「たわごとだ」と主張する。人間の評価方法をAIに適用するのは明らかに間違いで、これはAIを擬人化する好ましくない試みの一例だというわけだ。こうしたバイブス論はすぐにでもやめるべきであり、AI界に広まってしまえばもう排除できなくなると、警鐘を鳴らしている。

こうした経緯から、バイブス賛成派とバイブス反対派との間で、激しい論争が巻き起こっている。

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翻訳=酒匂寛

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