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2025.05.23 11:15

年間200万件もの落とし物問題、JR東日本がAIで解決へ

gettyimages/Tomohiro Ohsum

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JR東日本は2026年4月より、株式会社findが提供する「落とし物クラウド find」を導入する。年間200万件超の忘れ物を扱うJR東日本にとって、業務効率化と顧客利便の両立を目指した取り組みだ。

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最大の特徴は、find導入企業間で落とし物情報を一元的に検索できる「横断検索」機能だ。移動中に「どこで落としたかわからない」というケースでも、複数の事業者にまたがる検索が可能になり、個別に問い合わせる手間が軽減される。ちなみに、同サービスはJR九州がすでに導入し、忘れ物のマッチング率が4倍に増加したようだ。

また、findには多言語対応のチャット機能「find chat」が備えられており、インストール不要・メール認証のみで利用が可能。英語や中国語にも対応し、訪日外国人の問い合わせにもスムーズに応える。画像検索機能も搭載されており、スマートフォンで撮った写真をもとに精度高く探すことができる。

乗客の利便性が高まるだけでなく、現場の業務も変わるだろう。これまでは係員が手入力で落とし物の特徴を登録していたが、導入後は写真を撮るだけでAIが内容を自動登録する。係員側の登録の手間やミスを減らし、対応の迅速化が見込まれる。

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将来的にはグループ内のホテルや駅ビルにも導入を拡大予定だ。駅、車内、商業施設に至るまで、JRグループ全体で忘れ物対応のネットワーク化が進んでいくのは、うっかり者にとってはありがたいサービスだ。

JR東日本のこうした顧客起点のサービス姿勢は、別の取り組みでも感じることができる

現在Netflixで世界的にヒットしている映画『新幹線大爆破』のリブート版は、JR東日本の全面協力を得て制作された。1975年のオリジナルを現代に蘇らせた同作では、鉄道会社ならではの知見が作品のリアリティを高めている。また映画制作への協力姿勢は、「お客さまファースト」という利便性・安全性を重視しているからこそだ。今回のクラウドサービス導入と同様、JR東日本のサービスへの本気度が伝わる。

このように、クラウドやAIによる新たな落とし物対応は、日常の小さな不便を少しずつ解消していく。落とし物や忘れ物に翻弄される時代はもうすぐ過去のものとなるのかもしれない。

プレスリリース

文=福島はるみ

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