欧州

2025.05.17 11:00

対戦車壕をバイクでジャンプ、戦場スタント試みたロシア兵が悲惨な結果に

ロシア兵がオートバイで飛び越えようとした壕(Xで共有された動画より)

バイク兵のジャンプ失敗は悲惨な事例だが、統計上は、ロシア軍のバイク兵が多数出している損害の新たな一例にすぎない。ロシア軍による最近のオートバイ突撃は、大半がライダーにとって惨事に終わっている。

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4月17日ごろ、ウクライナ東部ドネツク州の要衝、ポクロウシク市の東数kmに位置するミロリュビウカ村方面であった突撃もそうだった。この突撃では、前例のない150台ものオートバイに乗ったロシア兵が、全地形対応車などに搭乗する味方のほかの兵士らとともに、ウクライナ国家親衛隊第14作戦任務旅団、通称チェルボナ・カリーナ(赤いガマズミ)旅団の陣地を攻撃した。

結果はロシア軍にとって破滅的なものだった。ウクライナの戦略コミュニケーション・情報安全保障センター(SPRAVDI)は、チェルボナ・カリーナ旅団が「ロシア軍の装備と人的戦力の波に対して決定的な打撃を与えた」と報告している。「突撃の規模をものともせず、ウクライナ部隊は陣地を守り抜き、正確に、また規律をもって攻撃全体を撃退した」とも伝えている。

チェルボナ・カリーナ旅団の主張によれば、ロシア軍は死傷者少なくとも240人、撃破されたオートバイ96台など大損害を被った。

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ロシア軍のバイク突撃は時にはうまくいくこともある。そして、ロシアにとっては、こうした「たまにある成功」が、度重なる失敗を正当化するものになる。

全面戦争が4年目に入るなか、ロシア軍部隊は計画する攻勢の最初に、訓練も装備も不十分な部隊を「強行偵察」に送り込むのが常套になっている。これらの部隊はオートバイや全地形対応車、あるいは電動スクーターを使うことが多い。

英王立防衛安全保障研究所(RUSI)のアナリスト、ニック・レイノルズとジャック・ワトリングは最近の論考で、これらの部隊は「ウクライナ軍の陣地と判断される地点に前進し、火力を誘って偵察を行うよう命じられる」と説明している。

「部隊が抵抗に遭遇すれば、ロシア軍の指揮官は最適な接近ルートはどこか、とくに防御部隊の境目がどこに走っているかを評価する。ウクライナ軍の陣地を明確に特定できれば、部隊は執拗に前進させられる」と続けている。

ロシア軍の第39独立自動車化狙撃旅団は今月、ミロリュビウカのすぐ北東のマリニウカ村付近で、ウクライナ軍の塹壕線に脆弱な箇所を見つけた。反撃に出たウクライナ軍の装甲車両をロシア側はドローンで撃破し、その区域を占拠した。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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