ヘルスケア

2025.05.17 18:00

敏感過ぎて生きづらい人へ、「HSPの強み」を心理学者が解説

Shutterstock.com

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「ポジティブ思考」や「鈍感力」が称賛される現代社会において、HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)でいるのは辛いことかもしれない。HSPとは「Highly Sensitive Person」の頭文字を取った言葉で、周囲の人の言動や態度、さらには光や音などに「とても敏感な人」を意味する。HSPの割合は人口の15~20%。およそ5人に1人の人にとって、絶えず流入してくる情報が心を疲弊させる原因になる。

しかし、敏感でいることは弱点のように見えて、実はすばらしい強みでもある。HSPには人生のさまざまな場面でかけがえのない役割を果たす、独自の強みがあるからだ。

この記事ではそんなHSPの3つの強みを紹介しよう。

1. 高い共感力と感情知能

HSP──「とても敏感な人」の多くは共感力に優れ、他人の感情を驚くほど正確に察知できる。この共感力は単に落ち込んでいる友人を慰める際に役立つだけではない。HSPの多くは、社会で良好な人間関係を築くための高い「感情知能」も備えている。

事実、2021年の研究では、HSPに見られる「感覚処理感受性」(脳における感覚情報処理の敏感度)の高さが感情知能(他者の感情を理解する知能)の高さと関連していることが明らかになった。研究結果によると、高い感覚処理感受性を持つ人は、そうでない人とは異なる脳の接続パターンを持っているという。

共感力の測定実験後、感覚処理感受性が高い人の脳内では、「気づき」と「感情」に関連する領域の接続性が向上していた。具体的には、記憶を担う海馬と楔前部間の接続が高まり、一方で扁桃体と不安に関連する領域、海馬と認知プロセスに関与する領域間の接続性が弱まっていた。

これは感覚処理感受性がより深い認知処理に関わり、注意力、記憶力、情動調整に影響を与えていることを示している。研究者らはこの高度な処理能力が、共感力などさまざまな能力をもたらしていると指摘する。

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翻訳=猪股るー

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