政治

2025.05.17 13:00

NATO加盟国、国防費を今後10年でGDP比5%に引き上げで合意の見通し 米国務長官

ベルギーの首都ブリュッセルで開催された北大西洋条約機構(NATO)外相会合に出席したマルコ・ルビオ米国務長官。2025年4月3日撮影 (Omar Havana/Getty Images)

ベルギーの首都ブリュッセルで開催された北大西洋条約機構(NATO)外相会合に出席したマルコ・ルビオ米国務長官。2025年4月3日撮影 (Omar Havana/Getty Images)

マルコ・ルビオ米国務長官は15日、北大西洋条約機構(NATO)の全加盟国が、向こう10年間で国防費を国内総生産(GDP)の5%まで引き上げるという目標に近く合意する見通しだと明らかにした。米国のドナルド・トランプ大統領はかねてより、NATO加盟国が公正な分担金を支払っていないとの不満を表明していた。

NATO外相会合に出席するためトルコに滞在していたルビオ国務長官は、米保守系FOXニュースの司会者ショーン・ハニティーとの対談で、トランプ大統領が第1期政権時の2018年に初めてこの問題を提起して以降、NATO加盟国による国防費が大幅に増加していると強調。当時、国防費がGDP比1%未満だった加盟国もあったが、その後大幅に増加し、来月開かれるNATO首脳会合を前に「事実上すべての加盟国」の国防費がGDPの2%を超え、「多くの加盟国」が4%を超えるようになったと述べた。その上で、来月の首脳会合が開催される頃には「向こう10年間で(国防費をGDP比)5%に引き上げるという目標に全加盟国が合意しているだろう」との見方を示した。

仏AFP通信によると、NATOのマルク・ルッテ事務総長はトランプ大統領の不満に対処するため、加盟32カ国に対し、向こう10年間でGDPの3.5%を国防費に、さらに1.5%をその他の安全保障関連費に支出することを約束するよう提案した。同事務総長の計画では、この3.5%の目標が達成されるまで、今後7年間にわたり加盟各国に対し、国防費を毎年GDP比0.2%ずつ増額するよう求めていくという。残り1.5%の安全保障関連費は、インフラストラクチャー計画やサイバー防衛、さらには対ウクライナ支援まで、あらゆるものが含まれることが見込まれている。

NATO外相会合に出席したドイツのヨハン・ワーデフール外相は、ルッテ事務総長の提案に支持を表明。同外相は記者団に対し、この提案が実行に移されれば、トランプ大統領が必要だと考えるGDP比5%の支出に沿ったものになるだろうとし、「この点では同大統領に従っている」と述べた。フランスのジャンノエル・バロ外相もルッテ事務総長の計画を支持し、GDP比3.5%の目標は「中核防衛費としては適切な額だ」との見解を示した。

トランプ大統領は2018年に開かれたNATO首脳会合でこの問題を提起して以降、加盟国が米国の支援を必要としているのであれば、相応の負担をすべきだと繰り返し発言してきた。同大統領は2期目の就任を目前に控えた今年1月、記者団に対し、NATOは全加盟国の国防費の支出目標を現行のGDP比2%から5%に引き上げるべきだと語っていた。同大統領は「加盟国は皆、その目標を達成する財政的余裕がある」と主張した。

今回の外相会合に先立ち、米国のマシュー・ウィテカーNATO大使は記者団に対し、「5%がわれわれの数字だ」と明言。「われわれは加盟国に対し、本気で国防に投資するよう求めている。5%は単なる数字ではなく、安全保障にとって不可欠なものだ。NATOは重大な脅威に直面している」と警告した。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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