「サンドイッチ食べたいです」「きゅうり大っ嫌い」——日常会話は大学ではなく日本語学校で
やな:今、日本に来て何年目でしたっけ?
ニック:16年です。もう、めちゃくちゃ長い。
やな:大先輩。
ニック:やなのすごいところは、日本語がめちゃめちゃ上手いところ。俺、日本語はあんましゃべれなかったの。ゼロじゃないんだけど、でも、専攻は歴史とか文化などだったので、日常的な日本語は日本語学校に入って勉強しました。「私はニックです」「コカコーラが好きです」「サンドイッチ食べたいです」「きゅうり大っ嫌い、大っ嫌い」とか。
やな:日本が好きで、興味を持ち始めたとしても、なかなか16年間も残る人は少ないなか、なんでこんなに長く日本にいようと思ったの。
ニック:まずは「安全」だね。俺、カリフォルニア出身なんだけど、カリフォルニアは今、すごい汚いの。あとは治安が悪い。まあカリフォルニアにも、いいとこもあるけれど。
やな:ビーチが素敵だったりとかね。
ニック:ビーチは素敵なんだけど、ホームレスがめっちゃ多いの。で、カリフォルニアではけっこう大問題になっているの。あとホームレスがいるとドラッグとか——。帰りたいと思わない。俺の親もね。何回も日本に来て、日本の方がいいって毎回言いますね。
やな:じゃあ親も、いつか日本に来るかもしれない?
ニック:そう、俺のママはたぶん、できたら日本に住みたいと思ってると思う。
「安全」は黄金のメリット
やな:やっぱり、住むとなると治安は大事だよね。
ニック:大事。だって日本はどこでも歩けるでしょう? 俺、アメリカに帰ると疲れるの。歩きながらも気をつけなきゃいけないとか、そういうことにね。
やな:ずっと気を張らなきゃいけないみたいな?
ニック:そう、そういう「ドキドキ」には飽きた、俺は。暴力とか、強盗とか。スリだったらまだいいんだけど。
日本は歌舞伎町でもけっこう安全でしょう?
やな:うん、比較的。
ニック:日本人の友だちからはね、「それでも、日本でも危ない地域はあるよ」と言われたこともあるけど、俺からするとまだまだぜんぜん、安全。俺の住んでたアメリカの町は、夜、歩いたらもう90%ボコボコにされるか、強盗されるか、という感じだから。
アメリカの文化もすごく好きなんだけれどね。——とりあえずもう俺ね、人生の半分は日本で暮らしている感覚です。「Almost half of my life」。人生の半分くらい。「Almost」だけどね。


