人工知能(AI)競争と、深宇宙開発の原動力を結びつける斬新なアイデアがある。
このアイデアに勢いを与えているのが、米テックメディアThe Informationに12日付で掲載されたニュース「サム・アルトマン、ダイソン球と光円錐の植民地化について語る」だ。
NASAオタクではない大半の人にとって、この見出しは何のことかさっぱりわからない。光円錐とは何か。それをどうやって植民地化するのか。そしてダイソン球とは何なのか。
だが結局、これまでは理論上でしか存在しなかったこれらの技術は、恒星からエネルギーを得ることを目的とする実際の実験を重ねるごとにますます実現可能性が高まっていくのだ。
ダイソン球
ダイソン球は、1960年に物理学者のフリーマン・ダイソンが考案した理論上の建造物で、何らかの既存のシステムを用いて近くの恒星から電力を取り出し、別の場所(おそらく地球)に送る設備だ。
ダイソン球に関する主流理論の一部では、単一の設備ではなく衛星群で恒星のエネルギーを集め、深宇宙の彼方に転送することが示唆されている。
科学ニュースサイトLiveScienceに掲載された天体物理学者ポール・サターの解説記事では「ダイソン球は(中略)致命的欠陥に悩まされる。恐ろしく不安定なのだ」として「だが今や、この構造を安定させる方法を考え出したと主張する技術者がいる。必要なのは2つの恒星だけだ」と指摘している。
サターが解説記事の中で紹介している英グラスゴー大学の技術者コリン・マッキネスの研究では、適切な連星系と安定した重力があれば、ダイソン球は実現可能になる可能性があることが示唆されている。
それでもまだ、取り出した電力を地上に送る問題が残る。マッキネスの研究は、人類の目的に限定してではなく、この奇妙な設備の1つを建造している(トカゲ型宇宙人などのような)何らかの文明に基づくものだった。
では、人類ならどのような方法でこの問題に対処するだろうか。問題の電力を移動させるのにケーブルの敷設は利用できないという条件では、残されている手は電磁波放射技術だ。



