トランプ米大統領は、5月13日から16日にかけての中東歴訪中にサウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)との間で、総額2兆ドル(約290兆円。1ドル=145円換算)超の投資協定を発表した。これらの協定は、国防や航空、人工知能(AI)を含むプロジェクトに関するもので、この訪問にはイーロン・マスクやサム・アルトマンなどの数十人の著名な米国ビジネス界の幹部らも同行した。
UAEとの間には、総額2000億ドル(29兆円)超の商業契約が発表された。ここには、エティハド航空がボーイング製の航空機28機を購入するための145億ドル(約2兆円)の投資や、エミレーツ・グローバル・アルミニウムが、オクラホマ州のアルミ精錬所に投じる40億ドル(約5800億円)の投資が含まれている。
さらに、米商務省によると米国とUAEは、5ギガワットの電力容量を持つAI向けのデータセンターをUAEの首都アブダビに建設することで合意した。この施設の建設は、アブダビのAI企業「G42」が手掛けることになる。
カタールとの間では、総額2435億ドル(約35.3兆円)超の投資協定が締結され、今後1兆2000億ドル(約174兆円)まで拡大する計画も示された。この中には、カタール航空によるボーイング機210機(総額約13.9兆円)の購入や、米軍施設への100億ドル(約1.5兆円)の投資、米国からの武器購入に充てる420億ドル(約6兆円)が含まれている。
さらに、カタールの投資会社Al Rabban Capital(アル・ラッバン・キャピタル)は、量子技術と人材開発を目的として米国のQuantinuum(クオンティニュアム)社に10億ドルを出資する。防衛分野では、レイセオンからの無人機テクノロジーの取得に10億ドル(約1450億円)、ゼネラル・アトミックスからの遠隔操縦航空機の購入に20億ドル(約2900億円)の契約が結ばれた。
サウジアラビアとの間では、総額6000億ドル(約87兆円)の投資協定が発表された。この中には、米国の十数社の防衛企業からの装備やサービスの購入に向けた1420億ドル(約20.6兆円)の契約が含まれる。また、サウジ企業DataVolt(データボルト)による米国内のAIデータセンターおよびエネルギーインフラへの200億ドル(約2.9兆円)の投資や、グーグル、オラクル、AMDなどとの間で進められる両国における技術開発に向けた800億ドル(約11.6兆円)の出資も盛り込まれている。さらに、米国企業は、キング・サルマン国際空港やクディヤ・シティのエンターテインメント複合施設を含むサウジ国内のインフラプロジェクトにおいて、総額20億ドル(約2900億円)超の業務を受注している。
一方、別途開催された複数の米国のビリオネアが参加した投資カンファレンスでは3000億ドル(約43.5兆円)超の145件の契約が締結されたと報じられている。



