「AIによる生産性」が抱える矛盾
企業は、AI導入に向けて多額を注ぎ込む一方で、従業員が生産性向上のためにAIツールをどう活用しているかという、貴重な洞察を見逃していることが多い。この隔たりがとりわけ顕著なのがITセクターだ。
ITプロフェッショナルのうち、「AIツールを活用している」と答えた人は74%に上った。しかし、効率性の高さが証明されている業務について、「勤務先はAI導入や自動化を導入しているか」を尋ねた質問では、以下のとおり、半数に届いていない。
・ITインフラのメンテナンス予測のためにAIが導入されている:42%
・サポートチームに頼む必要のない、ルーティン的で簡単なタスクがAIで自動化されている:41%
・トラフィックの異常と脅威を検知するためにAIが使われている:36%
従業員が懸念しているのは、AIで生産性が向上しても、能力を認められることもないし、追加報酬が支払われることもないまま、仕事が増えるだけではないかということだ。この調査では、「効率性が上がれば、会社側からさらに多くの仕事を課される」という質問に対し、52%のオフィス労働者がイエスと答えた。こうして、生産性が向上したとしても、報われるよりむしろつらい目に遭うと従業員が感じてしまう構造が生じる。
これはまた、オフィス労働者の46%が「会社から支給されたものではないAIツールを使っている」と回答した理由でもある。従業員が、生産性の向上はキャリアにとって逆効果だと受け止めれば、誰にも気づかれたくないとおのずと気を付けるようになる。
AIツールの無断使用に伴うセキュリティリスク
従業員がAIツールを無断使用すると、セキュリティが大幅に脆弱になるという深刻な問題が生じる。会社側が使用を承認していないAIプラットフォームを使用しているうちに、セキュリティ基準を満たさないシステムに極秘データをうっかり流出させてしまう恐れがあるのだ。
イヴァンティの最高法務責任者で人事兼セキュリティ担当上級副社長のブルック・ジョンソンが指摘するように、「従うべき適切なガイドラインがなく、会社から承認も受けない状態で従業員がAI技術を使用すると、悪意ある行為者を呼び込んでしまったり、業務上の規則や契約に違反してしまったり、会社の貴重な知的財産を危険にさらしたりする恐れが生じる」。
こうしたセキュリティ上の問題もあるため、従業員が秘密裏にAIを使用している状況には至急対応すべきだ。


