ネコに話を戻そう。ネコは、オオヒキガエルよりもはるかにひどい問題になろうとしていた。1860年代までに、ビクトリア州やニューサウスウェールズの農業地域にネコが大量に導入されていった。1864年には、ネズミの異常発生を抑制する目的で、ラクラン川の近くにネコが大量に放たれた。1880年代には、侵入種のウサギに対する政府の政策の下、ネコの放出が積極的に推奨された。
しかし、こうした戦略は裏目に出た。19世紀末になると、ネコが野生化して、荒野で大型の攻撃的なネコが育つようになったとか、ウサギの繁殖地に住み着いているとか、在来動物を捕食している、などの報告が現れ始めたのだ。
オーストラリアには現在、700万匹から1120万匹のネコがいると推定されている。砂漠から高山まで、オーストラリア大陸の99%以上に生息しており、ほぼすべての環境に適応している。無賃乗船でオーストラリアに入ってきたネコが、生態系の巨大勢力になったのだ。
オーストラリアで最も対策費がかかっている侵入種
ネコの数は膨大だが、被害の大きさを伝えることは難しい。学術誌『Diversity and Distributions』で2022年3月に発表された研究によると、オーストラリアでは、イエネコと野生のネコによって、1日あたり100万羽を超える鳥が殺されている。爬虫類は167万匹、哺乳類は300万匹近くだ。
オーストラリアの植民地化以降、ゴクラクインコ、ブタアシバンディクートなど、少なくとも27のオーストラリア在来種の絶滅にネコが直接関与した。現在も120種以上が、ネコによって絶滅の危機にある。
地上に巣を作る鳥や、体重が「クリティカル・ウェイト・レンジ(CWR:中程度の体格[35gから5500gのあいだ])」の範囲内にある有袋動物、さらには爬虫類までもが、容赦なく捕食されている。キツネや、生息地の喪失、山火事も絶滅に影響しているが、保全生物学の専門家のあいだでは、オーストラリア大陸で悪影響が最も大きい侵入種はネコだと考えられている。


