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2025.05.19 08:00

「AIが仕事を奪う」未来が目前? UPSやデュオリンゴなど大手5社の実例で探る

skynesher / Getty Images

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従業員にとってはありがたくない、職場環境のトレンドが生まれつつある。AI(人工知能)とオートメーション(自動化)テクノロジーが、猛スピードで進歩しており、業務効率化、経費削減、生産性向上のためにAIを活用する企業は増える一方だ。その結果、人間の働き手はAIに置き換えられ、レイオフに直面している。好むと好まざるとにかかわらず、企業は、競争力を保つためにレイオフを含む厳しい判断を迫られている状況だ。

フィンテック企業Klarna(クラーナ)や、物流サービスのUPS、語学学習サービスのDuolingo(デュオリンゴ)、財務管理ソフトウェアを提供するIntuit(インテュイット)、ネットワーク機器開発のCisco(シスコ)といった企業は、従業員をレイオフし、AIや自動化で置き換えている。

これらのテクノロジーは、確かに生産性を向上させるものではあるが、今後の雇用安定性に深刻な懸念を突き付けている。多くの働き手にとっては、自分の仕事が今後影響を受けるかどうか、心配は尽きないだろう。

経済的圧力やインフレ、ジェットコースターのように上下する株価といった要素によって、企業は経営のスリム化を最優先にしている。その結果、人間に与えられる仕事の数は今後も減少していくだろう。投資家がAIを熱狂的に支持していることも、このテクノロジーを採用する企業の後押しとして働いている。

実際、企業の発表でAIについての言及があると、その企業の株価が上昇する事例が数多く見受けられる。先ほど挙げた5社について、実例を見てみよう。

クラーナ

後払い決済(BNPL)サービス大手のクラーナは2022年、全世界における従業員数の約1割にあたる1000人以上の人員削減を発表して、大きな話題を呼んだ。その後同社はAIへの戦略的シフトを行い、カスタマーサービス関連の問い合わせへの対応、決済の処理、事業運営の最適化に関して、AIに重点的な投資を実施した(2023年にOpenAIと提携。2024年2月にAIアシスタントを発表)。

同社が導入したAIアシスタントは、700人のフルタイム従業員に匹敵する仕事量をこなすことができるという。クラーナのセバスチャン・シーミアトコウスキーCEOは、AIを用いたチャットボットや自動化されたシステムが、顧客の問い合わせへの回答や返金手続きなど、かつて人間が担っていたタスクを実行できると公言してきた。

生成AIを業務に取り入れることで、クラーナは、サービス規模を拡大しながら運営コストを削減することを目指している。報道によると、同社の顧客とのやりとりのかなりの部分を、今ではAIが担っているようだ。

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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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