2. 幸福感を高める
専門誌『Social Science Research(ソーシャル・サイエンス・リサーチ)』に掲載された別の興味深い研究によると、地域社会が道路や公園、図書館といった公益のリソースに多く投資すると、その地域に住む人はより幸せになる傾向があるという。この傾向は収入や教育、性別、人種、民族に関係なく見られた。調査では、公共施設はプラスの影響を及ぼすことが明らかになった。人々は図書館で資料を探し、友人と公園を散歩できる。
また、さまざまな場所が地域にあることが幸せにつながるという証拠もある。具体的には、日々足を運ぶ場所が豊富だと満足度が高くなる傾向がある。米ニューヨーク大学の研究によると、これは幅広い経験をすることを指す。
オフィスの場合、従業員が成功するためのリソース(テクノロジーや作業に集中する場所、コラボを行う場所、学ぶ場所など)を提供することで、個人やチーム、そして組織が恩恵を受ける。
また、オフィスに出社する機会は、働く場所を選ぶという点で選択肢があるというプラス面にもなり得る。そして、従業員がやるべきさまざまな種類の仕事に対応できるバラエティに富んだ場所がオフィスに備わっていれば、幸福感や満足感に違いが生まれる。
3. パフォーマンス向上が期待できる
場所が持つ別の重要な要素は、コラボと成果に及ぼす影響だ。人々が互いに近い距離で働くと会話が増え、より多くのアイデアを共有したりコラボしたりし、良い結果につながる傾向がある。
科学誌『PLOS One(プロスワン)』に掲載された研究で具体的に示されている。米マサチューセッツ工科大学(MIT)の4万358の論文と2350件の特許を包括的に分析したところ、共有とコラボが活発に行われると特許の取得、学術論文の共著や出版につながることが多くなると分かった。また、論文の信頼性と質を測る指標である引用数も増えていた。
加えて、距離はもろに成果に比例していた。例えば、互いに約123メートル以内で研究する方が約244メートル以内よりもコラボが多かった。
米ハーバード大学の別の研究では、中心となって作業をする人の7.6メートル以内に座ると、パフォーマンスが15%向上する傾向がみられたという。さらに、他の人から約20メートル以内にいると知識の波及がみられることがMITの研究で示されている。これは互いに学び合い、情報にアクセスし、他の人から新しい視点を得るためだ。
企業の場合、オフィスに集まるようにし、従業員同士が近くで作業したりつながったりする場所を提供することで、ポジティブな結果がもたらされる可能性が高くなる。
4. イノベーションを促進する
場所がもたらすもうひとつのポジティブな要素は、イノベーションを促進するということだ。専門誌『Research Policy(リサーチ・ポリシー)』に掲載された研究によると、住人が多様で、互いにつながっていることが多いと、その地域のイノベーションと経済活動が活発になるという。
人々が顔を合わせ、つながり、一緒にビジネスを行うような距離感であれば最良の結果が生まれる。地域はよりオープンになり、学習や創造性、イノベーションがみられる。このような多様性と距離感の場合、起業家精神は35%向上する傾向にある。
オフィスでは、包括的であらゆる多様性を受け入れるような文化にするといい。また、部署やチーム、プロジェクトを越えて従業員が集まってアイデアを交換し、互いから学び、刺激し合える場所を作るのが理想だ。


