AI

2025.05.18 14:00

納得できない―グーグルの「子ども向けGemini」立ち上げで一部保護者が反発

jackpress / Shutterstock.com

保護者たちがグーグルに「反発」する理由

そんな中、グーグルはファミリーリンクを通じて子どもにAIを使用させる保護者向けに、利用可能な保護機能や推奨される使用方法を説明している。

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ここで最も重要なのは、同社が「子どものデータをAIモデルの学習に使わない」と明言している点だ。加えて、コンテンツフィルターも用意されており、保護者は、子どものスクリーンタイムの制限、特定アプリのブロック、不適切なコンテンツの制限が可能だ。しかし、ここにはひとつの落とし穴がある。それは、子どもたちが自分でGeminiを起動できる点だ。

そして、多くの保護者の反感を買ったのは、Geminiが「オプトイン」ではなく「オプトアウト」で提供されることだ。ある保護者はこう語っている。「先週このメールを受け取った。でも私は『Geminiを子どもに使わせてもいいか』と聞かれていない。『使わせたくなければ設定を変えろ』と言われている。納得できない」。

保護者にのしかかる負担

グーグルはまた、「Geminiは人間ではない」と子どもに伝えることや情報の真偽を確認する方法を教えること、個人情報を共有しないよう促すことなどを保護者に求めている。同社の生成AIの管理責任をほぼすべて保護者に委ねているわけだ。責任ある生成AIの導入には、各セクターにまたがる共同責任が求められるが、それがグーグルの取り組みに反映されているとは言いがたい。

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テクノロジー企業は、こうしたツールを本当に安全で建設的なものにするために、もっと多くのことをすべきだ。彼らは、子どもたちにAIとの関わり方を教えて、意識を高める必要があるが、現状ではその試みは未成熟、未整備だ。子どもの意識を高める教育という点では政府もその役割を担えるだろう。AIが保護者にとって希望であるとしても、その落とし穴を回避するために費やすエネルギーが、結局はその恩恵を帳消しにしてしまうかもしれない。

ここで浮かぶ疑問は、子どもがAIツールを使い始めるべき時期はいつなのか? どれだけ使わせれば「やりすぎ」なのか? 子どものAI使用への介入のタイミングを決めるのは誰なのか? といったものだ。これらは現代の保護者たちを眠れなくさせる新たな問いであり、チャットボットには答えられない問題なのだ。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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