かつてのように大胆な接近戦を挑む突撃車両としてではなく、大砲のように慎重に使われることが多くなっている戦車は、その存在意義の一部を失いつつあるともいえるだろう。ウクライナ軍はこうした新たな現実を受け入れ、戦車部隊の再編に乗り出している。
第17独立戦車旅団から改編された第17独立重機械化旅団を含めるとウクライナ軍に4個あり、各最大100両の戦車を配備されている現役の戦車旅団は解散される可能性がある。その場合、配備されている数百両の戦車の一部は、歩兵旅団や機械化旅団、あるいは新たに編成されている軍団の30両規模の新たな戦車大隊に振り分けられるだろう。それらの戦車にも、ウクライナが支援諸国から計240両取得する見込みのレオパルト1A5とレオパルト2A4がかなりの数含まれることになるかもしれない。
ウクライナ軍の戦車は、ドローンに見つからないように戦場で分散・隠蔽されると同時に、組織内でも分散されるようになっている。小型ながら大きな損害を与え得るドローンによって戦争がますます形づくられるようになるなか、戦車は戦いの主役よりも支援役を果たすようになっている。
最終的に、戦車部隊は全体として規模がやや縮小し、車両数も乗員数も減ると見込まれる半面、ウクライナが現在戦っているようなタイプの戦争にはより適したものになっていくだろう。
戦車部隊の削減はドクトリン上の要請というだけではない。ウクライナ軍参謀本部を最も悩ませている問題のひとつ、前線での深刻な歩兵不足を解決する一助にもなる可能性がある。戦車兵科に割り当てる新兵を減らせる分、より多くの兵士を歩兵科に回せると考えられるからだ。