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2025.05.15 11:00

米中摩擦の後退で沸く米国市場、「たばこ株」は取り残される

Mark Wilson/Getty Images

Mark Wilson/Getty Images

米国と中国の貿易戦争が一歩後退し、最近の株式市場が反発する一方で、その動きに取り残されたのは世界大手のたばこ株だった。

ニコチンパウチ製品Zynの親会社であるフィリップ・モリス・インターナショナル、マールボロの米国での権利保有者であるアルトリア・グループ、そしてキャメルやニューポートなどのブランドを展開するブリティッシュ・アメリカン・タバコという、世界で最も価値のあるたばこ会社3社の株価は、いずれも米国時間5月13日の取引で下落し、米中間の関税の一時停止を受けて米国市場全体が騰勢を強める中、このところ下落が続いていた同業界の低迷をさらに加速させた。

フィリップ・モリスとアルトリアの株価はそれぞれ0.6%以上下落し、先週からの下げ幅を6%に拡大した。一方、S&P500種株価指数は同日に約1%上昇し、先週は5%上昇している。

ファクトセットのデータによると、フィリップ・モリスとアルトリアはともに、過去7日間におけるS&P500構成銘柄のワースト25にランクインしている。

ロンドンに本社を置くブリティッシュ・アメリカン・タバコはS&P500の構成銘柄ではないが、ワースト5位の順位だ。

たばこ株はなぜ下がるのか?

アルトリア、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ、フィリップ・モリスは、多くの消費者が必需品とみなす製品を販売する企業群で構成される、「消費者関連株」として知られる広範なカテゴリーに属している。需要が極端に減りにくく、ウォール街の一般的な常識では、これらの銘柄は経済が不安定な時期に投資する有力な投資先とされている。関税が緩和されたことで、投資家はこのような確実な賭けから離れ、テクノロジー株や旅行株のような、よりリスクが高い一方で成長率も高い分野に投資するようになった。

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翻訳=江津拓哉

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