近年、働き方の多様化やハラスメントに対する意識の高まりにより、職場におけるコミュニケーションや指導のあり方が変化している。特にコロナ禍以降に入社した若手社員と、それ以前に入社した世代との間で、仕事に対する価値観や求められる育成方法に対するギャップは大きいようだ。
Job総研が行なった「仕事における叱られる経験」に関する調査から興味深い実態が明らかになった。
リモートワーク普及の影響で将来への不安が増す20代
調査結果によると、仕事において叱られる経験は「必要」だと回答した社会人は全体の68.0%に上った。中でも注目すべきは年代別の結果だ。コロナ禍でリモートワークが進み、対面で指導を受ける機会が減少し始めた時代に入社した世代を含む20代では「必要派」が100.0%となり、全年代の中で最多に。50代が83.3%、40代が75.0%となり、30代は50.0%だった。
なぜ現代の若手社員は、叱られる経験を必要だと感じているのだろうか。調査では「必要派」のコメントがいくつか紹介されている。
・「叱られた時はわからなくても、時間が経つと理解できる瞬間が訪れるため」
・「年齢や経験関係なく正す行為として叱る・注意は必要。次に活かすためのアドバイスは成長に繋がる」
・「リモートワークで仕事が見えない分、失敗かそうでないかの判断がつかない。上司から叱られてみたい」
これらは、リモートワークの普及による影響もあるようだ。「失敗かそうでないかの判断がつかない。上司から叱られてみたい」」のように、自分の仕事ぶりが適切か、改善すべき点はないのか、それを判断する機会が少なく、上司からの叱咤をむしろ成長のための手がかりとして求めている状況が垣間見える。
一方、「改善するため、練度を上げるためと思えない指導は反対」「人前で叱責したり、必要以上に怒鳴ったりするのはいらない」という不要派の声もあった。
また、ハラスメントに対する社会全体の意識が高まる中で、上司が部下を指導することに及び腰になっている現状を示唆する声もあった。寄せられた「上司がハラスメントを気にして叱られた経験がない。将来の自分が心配になる」というコメントからは、若手社員の不安感が伝わってくる。



