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2025.05.19 08:15

恋愛マッチングの罠 「AI盛った写真」に潜む個人情報流出リスク

Getty Images

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世界のマッチングサービス界隈は生成AIなしには語れない状況になっている。AIを駆使した化かし合いと思えば笑い話で済むが、生成AIの利用には落とし穴がある。加工した写真から身元を特定されたり、AIとの会話で個人情報が流出する恐れもあるのだ。生成AIの時代に身を守る方法を確認しておこう。

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消費者向けのサイバーセキュリティー対策を提供するノートンが、日本を含む世界12カ国でマッチングサービスでのAIの活用に関する実態調査を行ったところ、73パーセントの人はAIで加工した写真には抵抗を感じるとしながらも、Synthesiaなどの非常にリアルなAIアバターをマッチングサービスで使ったことがある人が25パーセントもいた。ところが、36パーセントはAIで加工した写真や音声メッセージを見破れないこともわかった。

相手がAIで「盛って」くるのは嫌だが、マッチングサービスで生成AIを使いたいと考える人も少なくない。デートのアドバイスやAIを相手にした会話の練習といった健全な目的に使う人もいる一方で、写真加工、プロフィール作成など自分を偽る目的での利用を考える人が5割を超えている。

このように一般の人たちの日常における生成AIの利用が広がりをみせているなかで、ノートンはAIのプライバシーリスクを理解してほしいと訴えている。多くのAIサービスは厳重なセキュリティー対策が組み込まれているため流出は考えにくいが、サービスによっては収集した個人情報をシステムの改善などに役立てたり、「信頼できるサービス・厳選されたプロバイダーのグループ」と情報を共有するところもある。そうした個人情報の扱いを、サービスポリシーでよく確認しておくことが重要だ。

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またたとえば子どもの写真を生成AIで加工したときに、背景に写っていた学校名や制服の記章、道路の名前などが、AIの進歩によりハッキリと判別できるようになっていることにも注意したい。個人の特定につながる情報が流出する危険性があるので、そうしたマークや文字は写真に含めないか、加工後の画像をよく見て、あれば削除する。

さらに調査では、さみしいときにチャットボットを話し相手にしている人が10人に1人いることもわかったが、不用意にプライベートなことを話せば、そこから個人情報が流出する恐れがある。そうした話は控えるのも大切だが、チャット履歴の保存を無効にできるなら、そうしたい。

AIによってサイバー攻撃も巧妙化している。なりすましやフィッシング詐欺も、マッチングサービスの事例を見るまでもなく本物と見分けがつかなくなっている。サイバー攻撃は防ぎきれるものではないので、最新の脅威に関する知識を高めること、強力なパスワードの設定、セキュリティーソフトの使用をノートンは推奨している。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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