「採用面接やビデオ会議の偽動画」検出も目指す
現在ピンドロップは、テクノロジーへの投資をさらに強化し、音声だけでなく、企業の採用面接やビデオ会議における偽映像の検出にも取り組もうとしている。数十年間にわたってシスコCEOを務めた後に、ピンドロップ取締役に就任したエンジェル投資家のジョン・チェンバースは、「サプライチェーンの通話や面接の動画がディープフェイクでないと確認できるなら、顧客はとんでもない金額を払ってでも欲しがるだろう。市場規模は600億ドル(約8.7兆円)に達する可能性がある」と語る。
そしてピンドロップは、今後の成長に向けて、有利な立場を築いている。同社は、長年の詐欺対策の中で、50億件の通話の録音ファイルと2000万件のディープフェイク音声のライブラリーを構築した。このデータセットが、競合の本人確認プロバイダーの「Prove」や、ディープフェイク対策の「Reality Defender」「GetReal」などのスタートアップと戦う上で強みとなる。
ピンドロップのテクノロジーが優れたものであっても、悪意ある攻撃者は常に新たな手口を見つけてくるだろうとバラスブラマニアンは指摘する。しかし現時点では、ディープフェイクの生成コストの方が検出コストよりも高いと彼は考えている。
「ディープフェイクはどんどん巧妙になるだろう。でも我々は、指をくわえて眺めているわけじゃない」と、バラスブラマニアンは語った。


