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2025.05.14 12:00

サウジアラビアが「国家主導のAI企業」設立、CEOに元楽天幹部が就任

ムハンマド・ビン・サルマン皇太子(Photo by Win McNamee/Getty Images)

ムハンマド・ビン・サルマン皇太子(Photo by Win McNamee/Getty Images)

サウジアラビアの政府系ファンドPIFは5月12日、石油に富む王国を人工知能(AI)のハブに変貌させる取り組みの一環として、Humain(ヒュメイン)と呼ばれるムハンマド・ビン・サルマン皇太子が会長を務める国家主導のAI企業を立ち上げたと発表した。

Humainは、AIのバリューチェーン全体にわたる事業を展開し、投資を行う計画で、CEOにはアラムコ・デジタル元CEOのタレック・アミンが就任する。アミンは、かつて日本の楽天グループの副社長を務め、楽天モバイルの共同CEOを務めていた。

「この取り組みはサウジアラビアの国家AI戦略への道を切り開くものであり、この使命を担えることを光栄に思う」とアミンは、昨年12月にアラムコ・デジタルCEOを退任した際LinkedInの投稿で述べていた。

PIFによると、Humainは独自のAI技術を構築し、王国の経済におけるAIツールの活用を推進し、データセンタープロジェクトの「合理化」を進めるという。同社は、サウジ・データAI庁(SDAIA)や新都市NEOMのテック部門Tonomusなどの国家プロジェクトからも人材を引き入れたことが、関係筋の証言やLinkedInの投稿で確認されている。

Humainの立ち上げは、トランプ米大統領が5月13日に初めてサウジアラビアを公式訪問する前夜に発表された。今回のトランプ米大統領の中東各地への訪問は、この地域から米国テック企業への巨額投資につながると期待されている。「米国企業に1兆ドル(約150兆円)を出すのなら行くと伝えた」と、トランプ米大統領は3月に語っていた。

また、13日にリヤドで開催されるサウジアラビアと米国の投資フォーラムには、エヌビディアのジェンスン・ファンCEOやアマゾンのアンディ・ジェシーCEO、パランティアのアレックス・カープCEOなどの米国のハイテク大手のトップが出席する。ロイターは、イーロン・マスクやマーク・ザッカーバーグ、サム・アルトマンらもリヤドでのイベントに招待されたと報じている。

Humainは、サウジアラビアが昨年、隣国のアラブ首長国連邦(UAE)のAI投資に対抗するために立ち上げたと報じられた「プロジェクト・トランセンデンス(超越計画)」から派生したものと見られている。

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編集=上田裕資

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