
ビーチフロントの不動産への影響は?
一方で、地盤沈下のような気候変動の影響がまだそこまで見られないのは、ハワイの不動産業だ。オアフ島北部などでは、海岸線沿いの住宅で浸食の被害を受け始めているところが実際に出ているが、4月、マウイ島のビーチフロントの豪邸が3100万ドルという高額で売りに出されたことが報じられた。
以前より、ハワイでは「ビーチフロント」や「オーシャンビュー」は、不動産の価値を高める要素のひとつだ。自宅からすぐに海に出られたり、目の前に大海原が広がったりする物件は、築年数の経った物件でも驚くほど高額で取り引きされることも珍しくない。
だが、今後も地盤沈下が進み、グリーンフィーがさらに増税されるようなことになれば、ハワイが直面しているリスクにももっと人々の注目が集まることもあり得るだろう。
私たちは、住民の税金で賄うだけでは難しいほど、気候変動による影響が出始めていることを真摯に受け止めていくべきではないだろうか。そして、他の都市だって今後、同じようなことに直面する可能性も高い。ハワイの地盤沈下やグリーンフィーの話題は、決して対岸の火事とは言えないはずだ。