アルファベットをデザインしたTシャツを着るとしたら、どの文字がいいか。10代の若者たちを対象にしたアンケートによる好きなアルファベットトップ10。どうでもいいようでいて、その順位には、深くてふわっとしたピュアな理由があった。

ティーンエイジャーに特化したリサーチ企業、ワカモノリサーチは、14歳から20歳までの178人にTシャツに入れたいアルファベットを聞いた。その結果、1位になったのが「A」。理由としてもっとも多かったのが、「形がカワイイ」だった。フォントによって印象が変わるバリエーションの広さも人気らしい。また、「アルファベットの最初だから」、「王道という感じ」、さらに「エンゼルスみたいだから」という意見も聞かれた。大谷翔平が所属するロサンゼルス・エンゼルスのAということだ。なるほど納得。
2位の「R」も割合としてはAと並ぶ人気者だ。「丸みがカワイイ」とのこと。Aと同様、フォントによって変化の幅がある点が好かれている。
3位は「M」。「フォルムがかわいい」、「ふわふわしてる」という意見に加え、「ブランド品に多いイニシャルだから」という理由も聞かれた。
上位にランクインしたアルファベットは、共通して「バランスがいい」という意見が多かった。「カワイイ」ことも重要だが、若者たちはバランスを大変に気にすることもここから読み取れる。その証拠に、不人気なアルファベットはバランスが悪いという。そして、彼らが思う世の中でいちばんバランスの悪い文字が「G」だ。Gを選んだ人は178人中なんと0人。アルファベット26文字中、選ばれなかったのはGただひとつとう悲しい結果に。

東京あたりでは、昭和の子どもはみんな「G」の帽子をかぶって走り回っていた。そう読売ジャイアンツのGだ。そんな時代は今の10代からすればもはや日に焼けたモノクロ写真のような昔話だ。3位は千葉ロッテマリーンズのM、6位は横浜DeNAベイスターズのYだからジャイアンツに勝ったと一部の野球ファンは喜ぶかもしれない。でもやっぱりエンゼルスにはかなわない、などと勝手に野球基準で物事を見てしまうのは昭和生まれの悪いクセ。若者たちの純粋な目には、何らかの意味を持たせなければただの記号にしか見えない曇った大人の目と違い、アルファベットが純粋な造形物に見えているかもしれない。そのうえでAがもっとも美しい文字に選ばれたとなれば、あらためてAをじっくり鑑賞してはどうだろうか。



