「ヴィンテージ」「アンティーク」と呼ばれる店にぼくが出入りするようになったのは1990年代後半からです。イタリアの家具・雑貨領域のモダンデザインの品を北イタリア中心に探し歩きはじめました。メーカーの現行量産品を商材として扱うにも、デザイナーの履歴を説明するなどに、かつてのオリジナル品は欠かせないのです。およそ30年間、この分野をみてきたことになります。
最初の頃、店の表情としては2つのパターンがありました。
まず店主の顔がほんのり赤いのです。昼食にワインを飲んだのでしょう。イタリアで昼食にワインを口にするのは普通ですが、息の匂いから明らかに度が過ぎる飲み方をしていたに違いない。値段の付け方も大雑把です。それはそれで付き合うのに愉快なのですが、ビジネスという枠組みには入りづらい世界です。
もう一つは、上記のような世界とは違うことを客に強調しているかのような態度に出る店主たちです。店内は清潔で展示している品もとても状態がよく、「うちは美術館への貸し出しで、あそこも取引先」と名の知れた美術館の名前を自慢げに出します。当然、高価です。
今、前者のような店を見ることが少なくなりました。仮にあっても、めぼしいものがない可能性が高い。それだけモダンデザインの年代物の相場があがっており、資金力と目利き力が充分ではない人に参入が容易ではなくなっているのでしょう。また、オンライン販売も並行しているところが殆どなので、確かな商品情報と写真など細かい気遣いも求められます。
一方、ファッションです。ぼく自身は古着を買いません。ですが、思うことが2つあります。
一つ目。Forbes JAPANの谷本有香さんが書いた「『意味のイノベーション』の権威が説く、日本への処方箋」という2020年2月の記事があります。ぼくも「意味のイノベーション」絡みで一緒に仕事をしているストックホルム経済大教授のロベルト・ベルガンティさんに谷本さんがインタビューしたものです。場所は渋谷の「アーカイブストア」というヴィンテージショップです。


