ファッション

2025.05.15 10:15

「中古品」市場の拡大は、私たちに何をもたらすのか?

Photo by Lexie Moreland/WWD/Penske Media via Getty Images

日本には、状態の良い中古品が多く出回っている一方で、それが日常的に選ばれる場面はあまり多くない。それは、モノを「今、使う」ことよりも、「所有すること」や「集めること」に価値を置く意識の表れではないでしょうか。

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特に古着は、コレクション性や希少性と結びつきやすく、個人のステータスの表現としての側面もあります。熱心なオタクやコレクターになることが肯定的に捉えられている日本社会を考えると、古着においても「特別なものを所有する」ことに重きが置かれているようにも見えるのです。

また、モノを手放すことは簡単にできても、そこに必ずしも循環させるという意識があるとは限らない、という背景を表しているようにも思います。日本には「新しいモノの方が優れている」「古いものは卒業するもの」という価値観が、今なお根強く残っているのかもしれません。

そんななか「中古品」に対して面白い実践をされているのが、千駄木でインテリアリサイクルショップ、FUNagain(ファンアゲイン)を運営する高島大輔さんです。

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BEAMSやESTNATIONでVMDやMDを経験した高島さんがFUNagainをオープンしたのは2022年。FUNagainという名前には、リサイクル品を「もう1回使って楽しむ」という意味と、使う人自身が「もう一度インテリアを楽しむ」という意味が込められています。

お店にはブランド品、ノーブランド品、ジャンルや生まれた国・時代の全く違うアイテムたちが分け隔てなく並べてられています。一方で雑多な印象がなく、統一された開放的な世界観がある。お店を訪れた人がアイテムを自分の生活にどのように取り入れるかを考えやすいキュレーションを心掛けているといいます。

「ラグジュアリーを“贅沢な”と広義な意味で捉えると、日常の中で『あぁ、贅沢な瞬間だな』と思うことはお金の多寡に関係なく人それぞれある。その感度を上げていくことは生きていく上でとても重要です。天気の良い日に家でダラダラしながら素晴らしい音楽を聴いたり、日没前の空のグラデーションを眺めたり、贅沢だと思えるハードルは低ければ低いほど良いと思ってます。リサイクルショップというハードルを下げた店構えによって、心を豊かにするきっかけをより多くの人に与えることができたら嬉しい」

FUNagainのウェブサイトを開くと一番に目に入るのは、“The Circulation of Love!!” のフレーズ。「誰かが大切にしていたものを、次の誰かの大切なものにするという橋渡しをしたい」という想いが込められています。

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文=前澤知美(前半)、安西洋之(後半)

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