経営・戦略

2025.05.16 13:30

光のマイスター制度で地域を照らす光へ、古澤良祐の逆転劇

古澤良祐|タカショーデジテック

全国に広がっていく、希望の光

LED100万球を使用して和歌山けやき大通りを光り輝く並木道へと様変わりさせた2024年の「KEYAKI LIGHT PARADE」。
LED100万球を使用して和歌山けやき大通りを光り輝く並木道へと様変わりさせた2024年の「KEYAKI LIGHT PARADE」。

クレームから始まったLEDの物語は、わらしべ長者のように偶然と想定外のクライマックスに向かった。LEDライトの製造業だったはずが、9000人の仲間をつくり、そして「フェスタ・ルーチェ」(イタリア語で光の祭典)という大型イベントとして、 毎年、和歌山の冬の風物詩になった。

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2017年度の第1回から24年度開催まで、83万人が夜に輝く光を楽しむために訪れた。また2年前からは和歌山市のけやき大通りの樹木351本に100万球が飾られ、日本一の街頭イルミネーションとして街に大勢のにぎわいをもたらしている。 

「うちの町でもやってほしい」という依頼は全国から寄せられている。高齢化で祭りの開催が難しくなった町、過疎で人影が少なくなった町、子どもたちの歓声を聞きたい遊園地。古澤たちは、青森、愛媛、島根、栃木でもフェスタ・ルーチェを開催した。

毎年10万人が訪れる和歌山マリーナシティの光のフェスティバル「フェスタ・ルーチェ」。古澤は実行委員会会長を務める。8回の祭典で、累計来場者数は83万人に。
毎年10万人が訪れる和歌山マリーナシティの光のフェスティバル「フェスタ・ルーチェ」。古澤は実行委員会会長を務める。8回の祭典で、累計来場者数は83万人に。

「僕らは今暗いところに光をともすのが仕事です」と、彼は言う。フェスタ・ルーチェの開始から8年の間に、コロナ禍が起こり、多くの日本人が不幸に直面した。加えて、人口減少も高齢化も過疎化も進んでいる。それでも、光をともすと、どんな場所にも人々が集まり、賑わいが生まれ、祭りが始まり、誰もが笑顔で祭りに感謝し、地元企業の多くが協賛体制をつくった。

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「和歌山城〜光の回廊〜」では夜の和歌山城公園を美しい光で彩った。
「和歌山城〜光の回廊〜」では夜の和歌山城公園を美しい光で彩った。

だからこそ、全国に光をともし続ける古澤はこう思わずにいられない。

「この光がみんなの希望の光になりますように」と。


古澤良祐◎1977年、愛知県生まれ。大学卒業後イギリスに留学、帰国後にタカショー入社。国際部にて社長の秘書兼通訳として世界を飛び回る。入社2年目にLEDと出会い、社内ベンチャーとしてタカショーデジテックを設立。

文=藤吉雅春 写真=宇佐美雅浩

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