南大西洋異常帯
研究チームは、宇宙放射線を遮断する地球の磁場(磁気シールド)の強度が最も弱い「南大西洋異常帯(SAA)」と呼ばれる南大西洋上空のプロトンフラックスに注目した。SpaceWeather.comの記事によると、論文の筆頭著者でコロラド大学の天体物理学専攻学生であるカルヴィン・アダムズは、「NOAAの極軌道環境衛星(POES)から得られた測定値では、明らかにプロトンが減少している」と説明している。
その他の証拠としては、太陽活動の直接的な指標である黒点の数が過去20余年で最も多くなっており、磁場の乱流が激しくなって太陽の活動が活発化していることを示している。太陽活動が2008~19年の第24周期において100年ぶりに低調だった理由も、CGCによって説明できるかもしれない。
大規模なオーロラが増えると予想される
この論文はプロトンフラックスに焦点を当てたものだが、太陽活動が活発化するということは一般的に、磁気嵐の頻度や強度が高まることを意味する。強い磁気嵐は、壮大なオーロラが発生する本質的な原因だ。CGCに関するこの新たな知見は、米国や欧州をはじめとする中緯度地域でオーロラを目撃できる機会が増える可能性を示唆している。
仮にこのCGC理論が間違っていたとしても、オーロラは増えると期待していい。太陽活動が極大期を過ぎ、太陽の磁気活動が弱まり始めるときも、画期的なオーロラが発生する可能性があるからだ。
米航空宇宙局(NASA)とNOAAが共催する国際専門家グループ「太陽活動第25周期予測パネル(Solar Cycle 25 Prediction Panel)」のリサ・アプトン共同議長は、2024年10月に太陽活動の極大期入りを発表した際、「太陽活動の衰退期には黒点数は減少するが、極大期が終わった後も、その影響が必ずしも減少するわけではない」と述べた。衰退期には非常に強い太陽活動が起こることが知られている。
オーロラ発生の仕組み
オーロラは、太陽から絶えず放出されている荷電粒子(プラズマ)の流れである太陽風と、地球磁場の相互作用によって発生する。高エネルギーの荷電粒子は、地球に到達すると両極域から大気圏に降り込み、大気上層の原子や分子と衝突して励起させる。このとき放出されるエネルギーが緑色や赤色の光として観測される。


