最新の太陽科学研究によると、オーロラの活動が今後50年間にわたり極めて活発化する可能性がある。太陽が新しい長期的な活動周期に入るとみられるためだという。
太陽の活動は約11年周期で変動し、それに伴って地場の強さも増減する。現在は周期のピークである極大期に入っているとみられている。
ここ数年、北極圏や南極圏(極域)から遠く離れた低緯度地域でオーロラが頻繁に目撃されている。中でも最も規模が大きかったのは、昨年5月10~11日に発生した最大強度G5の猛烈な磁気嵐によるものだ。G5の磁気嵐の発生は2003年以来で、数百年ぶりの激しさだったと見る研究者もいる。
オープンアクセス学術誌Space Weatherに掲載された論文によれば、太陽は約70~100年ごとに変動する「グライスベルグ・サイクル(Centennial Gleissberg Cycle:CGC)」と呼ばれる周期の中で、活動度の高い時期に入りつつある兆しがある。CGCは約11年の太陽活動周期における極大値の長期的変動を約100年単位で理論的に示したものだ。
直近3つの太陽活動周期はCGCの極小期に当たり、次の3つの周期はCGCの極大期と重なる可能性が指摘されている。つまり、今後50年ほどの間、11年周期における太陽活動のレベルがこれまでより激しさを増すとみられるのだ。
「プロトンフラックス」を理解する
CGCの現在の周期を示す証拠は、太陽の11年周期と、地球を取り巻く放射線帯(バンアレン帯)の内帯に捕捉された高エネルギー陽子との相関から導き出されたものだ。太陽活動が低下すると、高エネルギー陽子の量(プロトンフラックス)は増大する。研究チームは米海洋大気庁(NOAA)の衛星2基を用いて、太陽活動が極大期に向かっていたこの数年間にプロトンフラックスが減少しており、それはCGCの中間点と相関していることを確認した。2022年までプロトンフラックスは増大していた。
すべての太陽科学者がこの理論に同意しているわけではない。宇宙の天気予報を提供する米Lynker Spaceの専門家で米国立大気研究所(NCAR)出身のスコット・マッキントッシュは、科学系情報サイトLive Scienceの記事の中で、CGCに関して結論を出すのは「時期尚早」であり、今回発表された論文はその影響を過大評価している可能性があると述べている。