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2025.05.15 18:00

恋愛にふたりの「野心の違い」が与える悪影響とは?相手の成功を私の不幸せにしないヒント

Shutterstock.com

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野心は極めて個人的なものであり、さまざまな形で恋愛関係に影響を及ぼし得る。多くの人にとって野心はアイデンティティや自己価値と密接に結びついている。

だが、カップルのどちらかが非常に野心的で、もう一方が相手と異なるペースで取り組んでいたり違う目標を持っていたりすると、すれ違いが生じる。やがて距離が生まれ、最終的には一緒にいても孤独感を感じることになる。

異なる野心のレベルに対処しなければ、カップルの今後に悪影響が及ぶ可能性がある。その2つのパターンを紹介する。

1. 気持ちが離れる

あなたのパートナーが目覚ましく昇進したとしよう。あなたは最初、手放しで喜ぶ。だが数週間が経ち、あなたはパートナーの予定がリーダーシップのトレーニングや人脈作りのイベント、自分のビジネスを立ち上げるための深夜のブレインストーミングで埋まっていることに気づく。

もしかしたらパートナーはチームを率いて、自分自身で何かを作り上げる未来を思い描いているのかもしれない。そのことについてあなたは喜ばしく思っているが、応援する気持ちを示す以外、パートナーを支えるためにどのように「貢献」すればいいのかよくわからない。

一方で、あなたは同じ業務を繰り返して成長するタイプだ。安定し、仕事以外の人生を楽しむ余裕を与えてくれるような、やることが決まっている仕事に満足している。そして徐々にわずかな変化が起こり始める。あなたは考え始めるのだ。私はパートナーの足を引っ張っているのだろうか。私たちは違う方向に向かって成長しているのだろうか。パートナーは現状に満足している私のことを、野心がないと思っているのだろうか。

この種の緊張は、私たちが思っている以上によくあることだ。カップルのどちらかが大きな目標を追いかけ、もう一方が安定型、あるいはゆったりと構えている場合、力の不均衡が生じかねない。さほど野心的でない側は、不安に思ったり、過小評価されていると感じたり、あるいは2人で共に築く未来が描けないと感じ始めるかもしれない。

こうした「取り残された」感覚は、自分の夢や目標よりパートナーのそれらを優先させることを厭わない人において、さらに強まる。専門誌『Administrative Science Quarterly(アドミニストレイティブ・サイエンス・ウォータリー)』に掲載された2018年の研究によると、カップルの一方がもう一方の目標を支えるために自分の野心を犠牲にすると、力の不均衡が生じる。サポートする側は自分に注意が向けられていない、あるいはニーズが満たされないと感じると、憤りを静かに蓄積させていく。

だが双方が互いのアイデンティティを積極的に支え、広げていくことで、前進するという感覚を共有できる。一方の成功はもう片方を脅かすものではなく、鼓舞するものだ。そうしてインスピレーションの共有を通じて双方が成長し、より強力で相互補完的なチームへと共に進化できる。

根底にあるのは、アイデンティティを仕事に結びつける傾向だ。多くの人にとって、キャリアは自分の目的や価値、自尊心を表す。そのためパートナーの出世が加速しているように見える一方で、自分のキャリアが停滞しているように感じられると、密かに相手と自分を比べたり気持ちが離れたりしてしまう。

だが、あなたの野心が相手のものと同じである必要はない。双方のビジョンが共存し、尊重される空間を共に築くことができれば、2人の関係はうまくいく。

だからこそ相手と素直に意見を交わし、頻繁に目標を共有してそれが何を意味するのかを話し合う必要がある。自分が取り組んでいることをただ話すのではなく、なぜそれが自分にとって重要なのかを説明する。そうすることで、共感と相互理解が生まれる。

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翻訳=溝口慈子

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