食&酒

2025.05.22 17:45

外国人を魅了する日本の「駅弁」。海外エキベン・ガイドから

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駅弁が旅人の食事になった経緯

日本以外の国でも、車内で食べる食事は供されるが、それらと比べても「駅弁」はきわめて美しく美味しい。それは庶民の食事であり続けてい駅弁の人気は、日本の鉄道の発展とともにあったのだ。

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最初の駅弁は実は19世紀末、栃木県に新しいJR線ができた時代に遡る。北関東の宇都宮駅で売手が「駅弁当」をホームで売っていた。中身は、箱に詰められる直前に竹の葉に巻かれたフレッシュなおにぎり2つと大根のお漬物が数枚——。最近の宇都宮駅では餃子が人気になってきているようだ。

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現代の手の込んだ駅弁とは少しばかり違うが、当時の「駅弁当」も、前もって作られて持ち運びの効く「弁当」の人気度のお陰で、とても喜ばれた。

仕事や学校に「弁当」をもっていく日本での風習は何百年にわたって継承されていたので、それを電車に応用することはそう難しいことではなかった。だが、当時の駅弁は今のように手の届きやすい価格ではなかったようだ。

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数年後、兵庫県姫路駅で売手がかまぼこや卵焼きといったお惣菜をお米と一緒に売り始めた。昭和末期頃、駅弁は他の駅でも出回り始め、電車が頻繁に駅に止まるたび、駅の角に設けられた屋台でお弁当が売られた。

1950年代には個人での鉄道旅行が急増し、長距離移動中に食事をとる必要性が高まった。地元の食材を活用することで、駅弁はより安価に提供できるようになり、多くの旅人にとって手に取りやすい存在となった。

百貨店で「駅弁フェア」

駅弁は日本の重要な文化として定着したのは1980年代のことだ。各地域の名物駅弁がその土地の駅でしか手に入らないという独自性が、旅をより特別な体験に変えてくれた。一方では旅をしなくても各地の味が楽しめるよう、百貨店で毎年「駅弁フェア」が開催されるようになった。

現代の列車はスピードも格段に速くなり、飲食の選択肢も増えたが、それでも駅弁は日本の食文化に深く根づいている。

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翻訳=坂口オスウェル大芽 編集=石井節子

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