韓国大統領選(6月3日投開票)の公式選挙運動が12日、始まった。混迷を深めた保守系与党「国民の力」の公認候補は金文洙前雇用労働相に決まった。同党の元職員は「すでにゲーム(大統領選)は終わった」と語る。そのうえで「わが党は大統領選で勝てるとは考えていない。誰が大統領選後の党内を掌握するかが焦点だから、金文洙が候補に選ばれた」と話す。
金文洙氏の支持率は世論調査で、韓東勲・元党代表や韓悳洙前首相の支持率を下回っていた。それでも、金氏が候補に選ばれたのは、「主張がより強硬だから」(同)という事情がある。大統領選で勝利できないなら、より保守色を強めた方が、党を牛耳るTK(大邱・慶尚北道)/PK(釜山・慶尚南道)選出議員らには都合が良い。おそらく、大統領選後は、より韓国社会の分裂がひどくなるだろう。同時に、「国民の力」は下手をすると、TK/PK地域だけでしか支持を得られない地域政党に転落するかもしれない。
一方、早くも「当選確実」ランプが灯ったのが進歩(革新)系最大野党「共に民主党」の李在明候補だ。専門家の一部は大真面目に、「トランプ政権の関税政策の影響を受けた経済政策」「北朝鮮をにらんだ安全保障政策」などが論点になると指摘するが、悲しいかな、現状はそうではない。極端なことを言えば、論点は「尹錫悦前大統領による戒厳令布告の是非」だけだ。保革両陣営ともに、この是非について激しく論じることになる。そして、語れば語るほど、一般市民の権利を奪おうとした尹錫悦氏への批判が高まり、李在明氏の当選は動かないものになる。
進歩系の韓国政府元高官は「李在明キャンプでは、すでにシャドーキャビネットも始動した」と語る。そんななか、8日にワシントンに現れた李在明キャンプの人物の姿に、日本政府がざわついた。ホワイトハウスで米政府関係者と面会した金鉉宗氏だ。韓国メディアによれば、金氏は面会後、報道陣に対して日韓関係の重要性を強調し、「(倒幕で助け合った)日本の長州藩と薩摩藩のように協力する必要がある」と語ったという。ただ、金氏は文在寅政権時代の2019年当時、大統領府国家安全保障室第2次長として、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄を強硬に主張した人物だ。



