2. 次の5分
次に、この意思決定者について少し調べる必要がある。例として、あなたはライターで、業界をリードする出版物の編集者に近づき、特集やゲスト記事の仕事を得たいとしよう。その場合、その編集者の最近の記事をチェックし、その編集者がどのようなトピックを好んで取り上げているのか、またその編集者の執筆スタイルはどのようなものなのかを知る必要がある。そうすることで、彼らにとっての優先順位を知り、彼らが関心を持たないような売り込み方をして拒否されることを避けられる。
フリーランサーとして法人クライアントの意思決定者候補にコンタクトを取る場合、その企業や顧客、それぞれのペインポイントやニーズだけでなく、これからコンタクトを取ろうとしている人物の背景についてもリサーチしておくと良いだろう。
彼らがその職場で働いている期間、以前働いていた場所、ビジネスにおける役割の中で彼らが何を優先しているかを調べよう。
また、あなたが会社員で、意思決定者がシニア・マネジャーや副社長であれば、彼らの経営哲学、今年の課題、組織内外の経歴を詳しく調べよう。
こうしたリサーチは、営業的または一般的と思われることなく、彼らのニーズに直接訴えかけるのに役立つ。豊富な情報を手に入れることでEメールやLinkedInでのメッセージを、陳腐で一斉送信しているような文章ではなく、効果的な売り込みにできる。
また、AI技術が進歩したおかげで、ChatGPTやPerplexity AIのようなツールを使って、このリサーチをわずか数分で完了させることもできる。
3. 最後の5分
次のタスクは、提供価値を主軸にした売り込みやオファーで用いる、オーダーメイドのショートメッセージを作成することだ。その人の背景や興味に基づきカスタマイズできるよう、生成AIツールを使って、接触する各個人に応じて調整されたテンプレートを用意する必要がある。
メッセージの内容は、フリーランスとしてのサービスやパッケージの提案から、ポッドキャストへの出演依頼、業務提携、その他のコラボレーションの提案、さらには新規の求人や今後募集される可能性のある求人についての問い合わせまで、何でも構わない。
また、一度送信ボタンを押したら、そのまま放置して忘れてしまわないことも重要だ。1週間ほど経っても返信がない場合は、「お忙しいと思いますので、万が一見逃していたらと思い、リマインドさせていただきました」というような優しいニュアンスでメッセージを再送しよう。意思決定者は多忙を極めており、最初のメッセージを見逃している可能性があるからだ。
この習慣はなぜ利益をもたらすのか
戦略的アウトリーチを一貫して実践している顕著な例が、Canva共同設立者兼CEOであるメラニー・パーキンスだ。投資家へ定期的にピッチを送り、イエスと返事をもらうまでに100回断られても最終的に承諾を得たという彼女の英雄的なストーリーは、他の起業家にとって注目に値する手本である。しかし、この彼女のストーリーは、たとえあなたが起業家でなくても、あなた自身のキャリアに応用できる教訓だ。
適切な人の目に留まるために毎日時間を捻出し、断られた後や全く反応がなかったとしても、この習慣を続ければ、いつかその努力がキャリアで報われる日が来るだろう。
また、解雇されたり、予期せぬキャリアの危機に直面したりした場合にも、あなたを支え、組織内で推薦し、協力してくれるような、業界の主要人物との強力な人脈を得られるだろう。
結局のところ人間関係は、キャリアとビジネスにおける通貨なのだ。


