この衛星が絶え間なく火山噴火を起こしているからだと、ボルトンは答える。イオを研究することで、この地球の火山との類似点、相違点や噴火を引き起こす条件は何かなどについて学ぶことができると、ボルトンは続けた。

危険な旅
これほど危険な高放射線環境に探査機が突入したのはこれが初めてであり、本当に危険なのは楕円形の極軌道で木星に接近する間だと、ボルトンは指摘している。それでも、ジュノーはイオの表面から高度1500km以内まで近づいたという。
ジュノー計画に困難が伴う理由の1つは、木星自体の惑星としての性質にある。
ボルトンによると、木星の質量は、太陽系にあるその他全ての惑星の合計を上回るほど大きい。太陽系全体で最も強力な磁場、最大規模の重力場、最も激しいオーロラ現象と、最も過酷な放射線帯を有している。さらに、同じ木星系内には、もう1つの極端な天体のイオがある。イオは太陽系で最も火山活動が活発な天体だと、ボルトンは続けた。
溶岩湖
ボルトンによると、イオで現在観測されているのは溶岩の湖だと思われる。米ハワイで見られる表面が固まって黒く見える溶岩流のように、表面が固化して皮殻が形成されたような状態にあると思われる。ハワイでは人々がその上を歩いており、下部には信じられないほど高温の溶岩があるのだから極めて危険なのだがと、ボルトンは話した。
NASAによると、表面のすぐ下にゆっくりと冷えつつある溶岩の名残がある領域は、イオの表面全体の約10%に及んでいることを、ジュノーのデータが示唆している。
ジュノーのミッション全体としての成功については、どうだろうか。
小さなトラブルはいくつかあったものの、すばらしい成功を収めている。
木星に到達した時点で、ロケットエンジンと燃料に問題の兆候が見られたことで、点火すべきか否かについて少し不安になったと、ボルトンは振り返る。探査活動を正常に行える軌道には入っており、ただ予定より長い軌道なだけなので、ロケットエンジンには点火せずにその53日間の軌道にとどまることに決めたと、ボルトンは説明した。