Googleが年次開催の開発者会議「Google I/O」に先駆けて、Android OSの次期バージョンに関連するアップデートの内容を発表した。Android 16はユーザーインターフェースのデザインが変わり、カスタマイゼーションの自由度が増す。ほか、スマートウォッチ向けのWear OSや、自動車向け機能のAndroid Autoに生成AIのGeminiが初めて組み込まれることもわかった。
生成AIエージェントGeminiを全方位に展開
次期Android OSにおける最大のテーマのひとつは、Googleが開発する高度な大規模言語モデル(LLM)である生成Aエージェント「Google Gemini」によるエコシステムを広げることにある。GeminiはすでにAndroidスマートフォンから40以上の言語で利用可能であり、ユーザーは追加のサブスクリプション料金を払うことなくAndroid OS上で利用できる。カメラやスクリーンシェア機能と連携し、ユーザーの操作をリアルタイムで支援する「Geminiライブ」機能も提供されている。補足するとiPhoneとiPadに最適化したGeminiアプリもある。
Android 16とWear OS 6の大きなユーザーインターフェースのデザイン変更については後述する。今回の発表で特に注目すべきことは、Geminiをスマートフォン以外のあらゆるデバイスとサービスに拡大して、ユーザーの生活をいつでも・どこでもサポートできるユビキタスなAIエージェントに進化させるるGoogleの戦略がさらに前進したことだ。
その大きな一歩は、GeminiがWear OS搭載のスマートウォッチにまもなく対応することだ。
画面が小さいうえ、手首のポジションに固定されるスマートウォッチは文字入力に不向きなデバイスだが、音声で操作できるGeminiのような賢いAIエージェントとの相性はよい。ユーザーは腕時計に向かって自然に話しかけて、ウェブ検索にメッセージへの応答、ショッピング、音楽再生などが今よりもっと快適にできるようになるかもしれない。
Wear OSでは「Geminiからの応答」を音声だけでなく、テキストに簡単な画像を添えたビジュアルによる応答も同時に行えるようになる。屋外の人混みの中で、ウォッチの内蔵スピーカーから音声を出力しづらかったり、音声が聞き取りづらくなる環境でGeminiの使い勝手を確保した。
GoogleによるWear OS 6の提供開始時期は今後数カ月以内が予定されている。Google純正の最新モデルであるGoogle Pixel Watch 3が2024年の9月に発売されているので、今年も前後の時期に次世代のモデルといっしょにWear OS 6がリリースされる可能性もある。Wear OS 6は前のバージョンのWear OSを搭載するスマートフォンも、アップデートによりGeminiを含めて新機能が使えるように設計されているようだ。現在、Wear OSはGoogle Pixelシリーズ以外のサードパーティのスマートウォッチにも提供されている。
ウォッチでGeminiを動かすためには、ウォッチ単体でLTEを使うか、またはペアリングしたスマートフォンを介してインターネットに接続する必要がある。デバイスがオフラインの状態では使えないようだ。



