自動車、テレビにもGemini
Geminiの「車載」も拡大する。車載ディスプレイにつないでAndroidスマートフォンを使いやすくする「Android Auto」の機能にGeminiを対応させる。次期は数カ月以内を見込む。Googleによるカーナビや車載システム向けのOSであるAndroid Automotive OSも年内をめどにGemini対応になる予定だ。
Geminiと車内で応答する際には、安全運転を妨げないように音声を使った「自然会話」をユーザーインターフェースの基本とする。地図や通信アプリとの深い連携により、これまで困難だった複雑なリクエストもGeminiに話しかけるだけで対応可能になるという。例えばドライブを開始する前、Geminiに「小さい子どもといっしょに入店できる4つ星以上の美味しいレストランはこの近くにある?」と聞くと、Googleマップからメニュー情報やレビューを横断的に調べて最適な店を提案してくれる。受信したメッセージの要約読み上げや多言語翻訳、音声による簡単な返信応答も可能になる。
家庭のリビングルームなどで活躍するGoogle TV搭載のスマートテレビの中にもGeminiに対応する「AIテレビ」が増えそうだ。2025年初に米国で開催された家電ショーのCESではLGエレクトロニクスなどが、Googleによる「Google TVへのAI機能導入」の発表を受けて実機によるデモを披露していた。テレビに付属するリモコンのマイクを介して、Geminiに話しかけると「話し言葉」で動画や番組の検索ができたり、スマートホーム機器の遠隔操作をAIがサポートしてくれるイメージだ。
Googleは昨年の世界開発者会議で拡張現実対応のデバイス向けOSであるAndroid XRを発表した。現在はサムスンと共同で次世代の新しいヘッドセット型デバイスを開発している。デバイスの詳細については、来週の開催を控えるGoogle I/Oで明らかになるかもしれないが、その体験の一端には「Geminiに旅行の計画を立ててもらい、360度周囲に広がる地図情報や風景動画を見ながら旅行のプランニングを楽しむ」といった使い方が含まれるかもしれない。
4年ぶりにAndroidのUIを刷新
AIの進化に加え、Android 16とWear OS 6ではユーザーインターフェースのデザインも大きく刷新される。Googleが「Material 3 Expressive」と呼ぶ新しいデザインコンセプトは、2021年にリリースされたAndroid 12から採用された「Material You」の発展形。OSのデザインを自由にカスタマイズできるだけでなく、滑らかなアニメーションによる動きを加えたり、ビジュアルな表現力を高めている。色調テーマやタイポグラフィの多様化も実施されることから、OSの画面上にユーザーの個性を表現できる幅も広がる。同様のコンセプトに沿ったデザイン変更はWear OS 6でも実施される。


