Netflix(ネットフリックス)の最新かつ最高の映画は、終末スリラーでも、セレブを総動員したロマンティックコメディでも、真犯人を追う犯罪ドキュメンタリーでもない。今回、Netflixが送り出したのは、心温まる家庭料理のような作品だ。
『ウォールフラワー(The Perks of Being a Wallflower)』を手がけたスティーブン・チョボスキーが監督した新作フード系コメディ『マンジャーレ! 〜ノンナのレストランへようこそ〜』(原題『Nonnas』、以下『ノンナ』と表記)は、配信開始直後から映画評価サイト「ロッテン・トマト」で高評価を獲得している。
ヴィンス・ヴォーン主演のこの作品は、批評家の評価を集計する同サイトで5月9日現在86%の支持率を記録しており、高評価の証である「認定フレッシュ」の基準を大きく上回る好調ぶりだ。ユーザースコアはまだ確定していないものの、批評家たちはおしなべて好意的な評価を下している。
この家族を中心に描かれる物語の実在のモデルは、ジョー・スカラヴェッラというシェフだ。彼は母と祖母を相次いで亡くした後、2007年にスタテンアイランドで「エノテカ・マリア」を創業した。『ノンナ』では、ヴォーン演じるジョーが、イタリア人のおばあちゃんたち、すなわち「ノンナ(nonnas)」だけでスタッフを構成するレストランを立ち上げ、食を通じて家族の歴史を讃えようとする。イタリア各地出身のノンナたちは、それぞれの物語と味わいをこの特別なキッチンへ持ち寄るのだ。
本作には、伝説的な俳優たちが名を連ねる。ロレイン・ブラッコ(『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』『グッドフェローズ』)は厳格なシチリア人ロベルタを、ブレンダ・ヴァッカロ(『真夜中のカーボーイ』)は情熱的なアントネッラを、タリア・シャイア(『ゴッドファーザー』シリーズ、『ロッキー』)は穏やかな元修道女テレーザを、そしてスーザン・サランドン(『テルマ&ルイーズ』『さよならゲーム』)が華やかなパティシエのジアを演じる。
助演陣としては、リンダ・カーデリーニ(Netflix『デッド・トゥ・ミー ~さようならの裏に~』『フリークス学園』)がジョーの高校時代の初恋相手かつ意外な法律アドバイザーでもあるオリヴィアを、ジョー・マンガニエロ(『マジック・マイク』『トゥルーブラッド』)が彼の親友で工事請負業者のブルーノを、ドレア・デ・マッテオ(『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』)がブルーノの率直な妻ステラを演じている。
『ノンナ』がロッテン・トマトで批評家たちの支持を集めている理由は、その「心地よさ」にあるといわれている。多くの物語が最も解決困難に思える「どん底」を軸にドラマを盛り上げるのに対し、この映画は仲間意識や伝統、そして料理への情熱をゆったりとした流れに溶け込ませることで、リラックスした雰囲気を作り出している。
RogerEbert.comのシェリン・ニコルは、本作を「日曜日の午後に観るのにぴったりな映画」と呼び、「腰を下ろし、皿を満たし、自分のルーツを思い出すように誘う」と評している。とりわけ料理の芸術を使って「悲しみを癒やす」という本作の中心的メタファーが秀逸であり、ヴォーンが見せる静かな優しさをともなう演技を高く評価している。



