映画

2025.05.13 12:30

実話ベースのネトフリ新作『マンジャーレ!〜ノンナのレストランへようこそ〜』ヒット、辛口批評サイトも評価

Netflix新ヒット作『マンジャーレ! 〜ノンナのレストランへようこそ〜』で実在のイタリアンレストラン経営者を演じた主演のヴィンス・ヴォーン(中央)と、左からノンナ(イタリア語でおばあちゃん)役のスーザン・サランドン、タリア・シャイア、ブレンダ・ヴァッカロ、ロレイン・ブラッコ(Jeong Park/Netflix)

エンターテインメント・ウィークリーのジョーダン・ホフマンも同様の熱意で語っている。彼は『タンポポ』や『シェフとギャルソン、リストランテの夜』『バベットの晩餐会』などの古典的な料理映画になぞらえ、『ノンナ』がその系譜に連なるにふさわしいだと評価している。

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特に、イタリア菓子のカンノーロやゼッポレ、レインボークッキーといった料理を捉えた撮影の巧みさを絶賛している。多くの人が本作を「陳腐」だと感じるかもしれないが、ホフマンはもっとも陳腐に陥りそうな定型をうまく回避し、独自のエネルギーを生んでいるとしたうえで、その魅力を「祖母と『トップガン マーヴェリック』を観るようなもの」だと例えている。先の読める展開ではあるが、たっぷりの愛情が込められているため、心地よく流されてしまうというわけだ。

ただし、Netflixの加入者は注意すべきだ。批評家全員が絶賛しているわけではない。全体としては肯定的なためロッテン・トマトでは結果的に「フレッシュ」判定(※)となっているが、AP通信は4点満点中2.5点の評価を与え、艶やかなトーンや先の読めるプロット展開が、作品をさらなる高みに導くのを阻んでいると指摘している。

批評家リンジー・バーは本作の誠実さと優しさを認めつつも、映画がジョーの旅に焦点を当てすぎていて、ノンナたちそれぞれの物語を十分に掘り下げられていないと嘆く。「もし料理が愛であるなら、料理を通じて彼女たちを心から好きになれる機会を観客に与えるべきだった」と述べているのだ。

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とはいえバーは、スタテンアイランドの風景描写が地に足の着いたものであり、本作が露骨な奇抜さに走っていない点は評価している。それこそが、ロッテントマトで大半の批評家が指摘する『ノンナ』の魅力だろう。料理映画の永遠の名作とまではいかないにせよ、近年の映画にはあまり見られない、どこか気まぐれでポジティブなエネルギーを放っている。

年末にベストテン入りするかどうかは別としても、この作品は気軽に楽しめると同時に、現実世界にも通じる教訓を提供している。何人もの批評家にとって(そしておそらくこれから観る多くの視聴者にとっても)、『ノンナ』はすでにより個人的な意味を帯びているようだ。家族の思い出や世代を超えて受け継がれてきた儀式、そして去って行った人々を呼び戻す料理の力──そうしたものを改めて思い起こさせてくれる作品なのだ。

※最も高い評価を得た映画やテレビ番組に与えられる特別な称号。批評家による評価「トマトメータースコア」が 75% 以上で、トップ評論家からのレビューが少なくとも5件などといった基準が設けられている。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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