話せる人は、シンプルな英語から育てている
では、どうすれば話せるようになるのか。答えは意外とシンプルだ。
日常会話に必要なのは、たった850語。

難しい単語を増やす前に、その850語を“話すトレーニング”で使いこなすこと。それが、話せるようになる最短ルートといえる。
「本当にそんな少ない単語で?」と思うかもしれないが、ぜひこれを見ていただきたい。

学校で習う単語は3000~4000語。しかし、日常会話レベルに必要なのはたった850語にすぎない。
この850語で、英語圏の人々が日常的に使う、人間の本質的な動作(見る、考える、話す、聞く、歩く、食べる、飲む、感じる、作る、使う、動かす等)をすべて表現できる。つまり、この850語をマスターすれば、英語圏でも暮らしていけるというわけだ。
850語で「I can speak English.」は本当に叶う
そのことを明確に示すのが次の図だ。

私たちはつい、「もっと難しい単語を覚えなければ」と思いがちだが、実は今ある語彙だけでも十分に話せるようになれる。
850語あれば、買い物ができき、レストランで注文ができ、道を尋ねたり自己紹介をしたり、仕事のやりとりもできる。
つまり、"I can speak English." と自信を持って言ってよい。そのうえ、シンプル英語に特化すれば上達スピードは3倍以上にもなる。
もはや、分厚い文法書とにらめっこする必要はない。必要なのは、話すための“練習”だけ。
まずは伝わればOK。間違えても問題ないというのが重要だ。
「正しい英語」ではなく、「伝わる英語」こそが本当に使える英語である。
では、どうすれば“伝わる英語”を自分のものにできるのか。
カギとなるのが、前置詞と基本動詞である。
前置詞と基本動詞で、英語の思考回路が育つ
世界中で最も使われている英単語は、実は "I" や "You"、"and" のようなごく基本的なもの。そして、それに続くのが「前置詞グループ」だ。
前置詞は、状況・場所・時間をつなぐ言葉として、日常会話で頻繁に使われる。たとえば、in, on, at, to, for, with など。
これらを感覚で捉え、自在に使えるようになると、表現の幅が一気に広がってくる。
また、同様に重要なのが基本動詞の使い方だ。特に「have」「make」「get」「take」などは、応用のきく万能動詞である。
これらは「正確に訳す」のではなく、「イメージで捉える」ことで、口から自然に出るようになる。
たとえば “have” は「なんでもかんでも持っている」。読者の多くは、"have" に「手に持っている」といった感覚を抱いているかもしれない。しかし、実際には "have" は物だけでなく、情報・状態・予定・病気・経験など、あらゆるものを「持つ」ために使われる、非常に便利な動詞である。
例を挙げてみよう:
I have a good idea.
(私に良い考えがあります)
Tom has long legs.
(トムは足が長い)
He always has breakfast at eight.
(彼はいつも8時に朝食を食べます)
American food has too many calories.
(アメリカの食べ物はカロリーが高い)
George has a cold now.
(ジョージは今風邪をひいています)
We had a very big party yesterday.
(私たちは昨日とっても大きなパーティをした)
このように、“なんでもかんでも持っている”という感覚で "have" を捉え、九九のようにパターンで覚えていくことで、自然に会話力が身につく。