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2025.05.12 12:30

今AI向けで有望な投資先は? 「電力需要爆増」解決に貢献できる新興企業はどこか

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報告書に掲載された技術や素材の導入時期

筆者がこの報告書の著者に対して、取り上げられた技術や素材の導入時期についてコメントを求めたところ、次のような回答があった。「バイオコンピューティングなど一部の技術は、まだ研究開発段階にあるが、GaNやSiCなどの技術はすでに普及が始まっている。こうした技術の導入は、短中期的に効率の向上と電力消費の削減に貢献できる」。

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また、中国のDeepSeekが最近実証して見せたようなAIモデルの最適化などの、ソフトウェアの効率化も即効性のある改善策として注目されている。さらに、量子コンピューティングや光コンピューティングにも、近い将来にインパクトをもたらす可能性があるとワールドファンドの広報担当者は述べている。

クリーンエネルギーの供給源

一方、エネルギー源に関しても、次世代コンピューティング技術と並行してクリーンエネルギーの供給が不可欠になる点をこの報告書の著者らは強調している。その例としては、グーグルが地熱発電のスタートアップFervo(ファーボ)と提携してデータセンター向けのクリーンなベースロード電源を確保したことや、アマゾンが小型モジュール炉によるクリーン電源の確保を目指してX-energy(エックスエナジー)に投資したことが挙げられる。

また、この報告書には他にも、たとえばデータ圧縮やサーバーの仮想化といったソフトウェアによるアプローチも詳しく紹介されている。米国環境保護庁(EPA)の調査では、積極的な仮想化と集約により、特定のデータセンター環境では最大80%のサーバーエネルギー消費を削減できることが示されている。

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「不完全でも今できる対策」の価値

結論として、AIによる環境負荷の問題を一夜にして解決する「魔法のソリューション」は存在しない。そのため、ハードウェアの進化やソフトウェアの最適化、そしてクリーンエネルギーへの移行を組み合わせた総合的な取り組みが最善の道といえそうだ。

そして、データセンターのエネルギー消費が加速度的に拡大している現状では、「完璧な未来の解決策」よりも「不完全でも今できる対策」のほうが価値を持っていることは明らかだ。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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