ただし、昨今ではテレビでより快適に楽しめるコンテンツが好まれる傾向にあることから、ウィルムス氏は「可能であれば4K画質で映像を撮ること。そして、視聴者がテレビでゆったりと楽しめるよう、モバイル向けコンテンツのように無理に尺を短くせずに、むしろ自然にのめり込めるストーリーテリングを重視すること」をYouTubeのクリエイターに助言していると語る。
テレビに最適化した収益化ツール
YouTubeに音楽、ポッドキャスト、ニュース、スポーツなど、ジャンルやフォーマットも多様なコンテンツがあることが、テレビによるYouTubeが活発化しているもうひとつの要因だ。
最近は長尺の動画だけでなくショート動画もテレビアプリで見られる。ポッドキャストを「ラジオのようにテレビで聞くユーザー」も少なくないという。YouTubeが行った調査によると、視聴者がテレビでポッドキャストを視聴した時間は2024年中に毎月4億時間を超えたそうだ。
テレビでYouTubeを楽しむユーザーは、コンテンツをリラックスしながらじっくりと観る「Lean Backスタイル」(意訳するならば「ねそべり視聴」)を好む傾向があるという。反対に、YouTubeは正式なデータを公開していないが、モバイルやPCによる視聴スタイルとして一般化したYouTubeの「倍速早見再生」をテレビで活用するユーザーも一定数いる(一部のスマートテレビやストリーミングデバイスでは、再生速度の変更機能を利用できない場合がある)。幅広な視聴スタイルの好みに応えられるように、YouTubeもテレビアプリに細やかな機能拡充を図ってきた。
YouTubeにはユーザーの視聴行動を解析した結果から、視聴者が好みそうなコンテンツをおすすめするレコメンデーション機能がある。そのアルゴリズムはYouTubeが独自に開発したものだ。テレビとモバイルのユーザーでは視聴傾向が異なる部分もあることから、テレビ向けのレコメンデーションエンジンにも独自のチューニングを施している。例えば最大480pの低解像な動画は、テレビの大きな画面で視聴すると粗さが目立つ。そのため、テレビのYouTubeアプリでは表示優先度を下げて提示する。
YouTubeにとってコンテンツをつくり、発信するクリエイターはプラットフォームを支える大切なパートナーだ。クリエイターがテレビも主戦場として活躍できるように、ウィルムス氏のチームは収益化のチームと連携しながらクリエイターのための収益化ツールもテレビ向けに最適化している。


