サイエンス

2025.05.11 17:00

ホホジロザメ数百頭が毎年集結する太平洋の「謎スポット」

Martin Prochazkacz / Shutterstock.com

世界の海洋保護区の現状を可視化するプロジェクト「MPAtlas」によれば、2002年にこの海域を「ホホジロザメ・カフェ」と名づけたのはモントレーベイ水族館研究所のチームだ。彼らが、カリフォルニア中部沖でタグ付けしてリリースしたサメのデータをプロットした結果、この太平洋のど真ん中の円に繰り返し収束していることが判明し、こう名づけられた。

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こうしたテクノロジー主導の学際的研究により、ホホジロザメを見る私たちの視野は広がった。沿岸と外洋の両方の生態系を利用する彼らの能力が明らかになるとともに、これまで知られていなかった海の生息環境が、彼らの生活史に重要であることが裏づけられたのだ。

大型動物を捕食する魚としては世界最大の種であるホホジロザメ(Shutterstock.com)
大型動物を捕食する魚としては世界最大の種であるホホジロザメ(Shutterstock.com)

なぜ人はホホジロザメに魅了されるのか?

ホホジロザメは、大型動物を捕食する魚としては世界最大の種であり、全長6m、体重2000kgを超える、恐るべき頂点捕食者だ。

ほとんどのサメと異なり、ホホジロザメは、体の一部の温度を、周囲の海水温よりも高く保つことができる。筋肉内部の特殊なシステムを利用して、体内で生じる熱を閉じ込めることで、冷水域のなかでさえ、長時間にわたって高速で遊泳する能力をもつのだ。

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ホホジロザメは、6つの鋭敏な感覚を備えている。なかでも、ロレンチーニ器官を介した微弱な電流を感知することに加え、嗅覚と視覚が優れている。そうした彼らは、海洋生態系に対して絶大なトップダウンでの影響力をふるっている。

軟骨でできた骨格と、三日月型の尾ビレのおかげで、ホホジロザメはずば抜けた流体力学的効率を誇る。鋸歯状の縁取りをもつ三角形の白い歯列は、咬合力が2トンを超え、アザラシ、イルカ、大型魚類をたやすく捕食する。

近年のゲノム解析により、ホホジロザメは、傷の治癒能力とゲノムの安定性を司る遺伝子を豊富にもつことが明らかになった。70年以上とも言われる彼らの驚くべき長寿と、怪我への耐性の謎を解く手がかりが得られたわけだ。

生理機能や感覚に見られるこうした環境適応力は、沿岸の採食域から、広大な海盆(深海底の平坦な盆地)を超えて、ホホジロザメ・カフェの深海まで移動する能力を支えている。彼らは、沿岸と外洋の両方で、生態系を監視する役割をしっかりと果たしているのだ。

forbes.com 原文

翻訳=的場知之/ガリレオ

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