さらに、縦型ライブ配信中に視聴者がクリエイターに向けて「ジュエル」というアニメーション付きのデジタルギフトを贈るツールや、有望な新進クリエイターを視聴者投票で応援・周知させる「ハイプ」など、新たな収益化機能も2024年から一部地域で試験導入されている(日本への導入は未定)。
収益化ツールが増えたことにより、YouTubeがクリエイターに還元する規模も飛躍的に拡大している。YouTubeは「2024年までの3年間にクリエイター、アーティスト、メディア企業へ700億ドル(約10兆2000億円)以上を還元した」と公式に発表している。単純計算でも年平均233億ドル(約3兆4000億円)規模のレベニューをクリエイターとシェアしていることになる。この金額はTikTokやInstagramなど他プラットフォームと比べても突出しており、YouTubeがクリエイターの活動を安定的に支える数少ないプラットフォームであることを示している。
さらに先述の通り、現在ではショート動画にも収益分配が導入され、トップクリエイターに限らず、よりカジュアルなクリエイター層にも持続可能な収益機会が開かれている。
クリエイターの成功がYouTubeの成功に直結
筆者は4月下旬にYouTube創立20周年を記念して開催された本社プレスツアーに参加し、アムジャッド・ハーニフ氏から直接、クリエイター向けプロダクト開発の現状と今後の展望を聞いた。
ハーニフ氏は「YouTubeの使命は表現する場所をあらゆる人に提供し、その声を世界中に届けることです」という理念を表明した。根幹にあるのは「クリエイターの成功はYouTubeの成功に直結する」という共存共栄のコンセプトだ。
ハーニフ氏によると、収益化ツールの利用動向については国や地域による大きな違いはないとしながら、日本と韓国についてはある文化的な影響も見られるという。いわゆる「推し活」だ。
「たとえばインドのクリエイターはスポンサー案件の収入により支えられる傾向にありますが、日本や韓国では『推し活』が盛んであることから、チャンネルメンバーシップやスーパーチャットがクリエイターにとって重要な収益を担っているようです。推し活はクリエイターとファンの強い結びつきを証明する、心温まる独自の文化と捉えています」
YouTubeは地域特性も踏まえながら、それぞれに適した収益化ツールを今後も拡充・提案していくという。


