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2025.05.19 10:00

20年間でクリエイターの在り方を変えたYouTube、年3.4兆円をシェアする収益化ツールの歴史

YouTube本社のVP of Creator Productsであるアムジャッド・ハーニフ氏に、YouTubeがクリエイターのために用意する収益化ツールの開発について現状と今後の展望を聞いた

YouTube本社のVP of Creator Productsであるアムジャッド・ハーニフ氏に、YouTubeがクリエイターのために用意する収益化ツールの開発について現状と今後の展望を聞いた

動画や音楽を中心に多様なコンテンツが楽しめるYouTubeは、クリエイターにとって自ら制作した作品を通じて収益を得たり、世界中の視聴者とつながることができるプラットフォームでもある。YouTuberと呼ばれるクリエイターたちは、昨今どのように収益を得ているのか。クリエイター向け収益化プロダクトの開発チームを束ねるYouTube本社のアムジャッド・ハーニフ氏に現状と今後の展望を聞いた。

一般的なクリエイターと「YouTubeクリエイター」の違い

一般的に「クリエイター」とはアートや音楽、デザイン、文章など何らかの創作活動を行う表現者全般を指す言葉である。プロ・アマチュアを問わず、作品を生み出すすべての創作家が広義のクリエイターといえる。

一方でYouTubeのクリエイターは単なる表現者に留まらず、YouTubeというプラットフォームの上に築かれた経済圏の一員という側面を持つ。具体的には、魅力的なコンテンツをつくる創造的なセンス、収益化ツールや企業コラボを活用するビジネス感覚、ファンとの交流を通じてコミュニティを大きく育てる運営能力と成長意欲、そして継続的にコンテンツを発信し続けるタフネスといった資質が求められる。

2007年には、YouTubeのクリエイターが自身のチャンネルや動画を通じて直接収益を得られる仕組みとなる「YouTubeパートナープログラム」が始まった。広告収入や有料サブスクサービスのYouTube Premiumなど、YouTubeが獲得した収益の一部を、コンテンツ制作に貢献したクリエイターに分配する。略して「YPP」とも呼ばれるこのプログラムの誕生により、YouTubeは単なる動画投稿サイトを超え、クリエイターがプロとして活動できる場へと進化した。

クリエイターがYPPに参加するためにはいくつかの基準をクリアしなければならない。たとえばチャンネル登録者数やコンテンツの総視聴時間が一定数以上に到達していること、著作権やコミュニティガイドラインを遵守していることなどが要件となる。YouTubeの新しいコンテンツスタイルとして2020年に導入された「YouTubeショート」は、最大3分間の短尺動画をカジュアルに制作・公開できることから、これまでになかった新たなクリエイターを開拓している。2023年以降は従来の「YouTubeショートファンド」から発展する形で、YPPに参加するクリエイターがYouTubeショートを制作して広告収益からの配分を獲得できる明快な仕組みが整った。

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編集=安井克至

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