経営・戦略

2025.05.12 11:00

米スケッチャーズを1.4兆円で買収、貿易戦争を好機にした3Gキャピタルの逆張り戦略

Photo by Brandon Bell/Getty Images

バフェットと組んでハインツを買収

その次の案件は、2013年にウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイと組んでハインツを買収し、2015年にクラフトと合併させたことだった。ただしこの案件で、バフェットは後に「クラフトを高値で買いすぎた」と認めており、合併後の株価は60%以上下落している。それでも3Gは、ハインツ買収の初期に得た利益のおかげで、最終的に損をせずに済んだ。

advertisement

「どれほど優れたターゲットであっても、タイミングを誤って高値で買えば、良い取引にはならない。バーガーキングの買収を素晴らしい案件にできた理由の一つには、タイミングが大きく関係している」と、ホールダー准教授は述べている。

スケッチャーズの場合、より健全な財務基盤を持つことから、3Gは同社に対し異なる手法を当てはめようとしている。同社の直近12カ月の売上高は、前年比10%増の91億ドル(約1兆3200億円)で、純利益は7億2600万ドル(約1060億円)だった。ただし、トランプ関税がこの利益を圧迫、もしくは消し去る可能性がある。

スケッチャーズやナイキ、アディダスを含む複数のシューズメーカーは4月に、関税の免除を求める書簡をトランプに送り、コストの上昇が「存続の危機」になりかねないと警告した。スケッチャーズの年次報告書には「中国」という単語が58回登場し、大半の靴が中国とベトナムで製造されているとされていた。

advertisement

トランプは中国からの輸入品に対する関税を145%に引き上げ、ベトナムにも46%の関税を課すと発表したが、4月に90日間の猶予期間を設けた。先日のNBCの「ミート・ザ・プレス」のインタビューでトランプは、「いずれ中国への関税は引き下げる」と述べたが、現時点で具体的な動きはない。

3Gは、嵐が通り過ぎるのを待つというスタンスで、33年間の歴史を持つスケッチャーズの経営陣がこの事態を乗り切ると確信している。同社の創業者、ロバート・グリーンバーグとマイケルの親子は、3Gによる買収後もCEOと社長として経営を行う予定だ。約10億ドル(約1450億円)の現金を得たうえで、非公開化後は会社の少数株主であり続ける。

3Gが家族経営の企業を買収するのは、2件連続のことで、前回は2021年にオランダのブラインドメーカー、Hunter Douglas(ハンターダグラス)を71億ドル(約1030億円)で買収していた。この取引で、同社を100年以上経営してきたソネンバーグ家は25%の持分を保持した。

「100年続く家族企業の企業を口説くためには、メジャーリーグ級のスキルセットが必要だ。プライベート・エクイティ業界の人々は、あまり評判が良くないからだ」と、ハーバード・ビジネス・スクールの上級講師でベーリングの長年の友人でもあるジョー・タンゴは語る。「3Gには、企業や創業家と長期的な信頼関係を築くための特別な力がある」と彼は続けた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事