エコシステム

2025.05.09 17:45

日本発のスタートアップ関連人材養成機関「11KS」創設者の育成論

━━お尋ねしたいのは、「11KS はSozo Venturesと近すぎるのではないか」という批判が出るかもしれない点です。実際、名門大学は素晴らしい可能性を秘めており、その教員は優れている傾向があるとのことですが、そうした教員のゼミとの間にパイプラインがあれば、潜在的な起業家を特定するのははるかに容易になるでしょう。そうした指摘にはどう答えますか? 

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ウィックハム:それは興味深いですね。というのも、私たちがしてきたことのほとんどが、人々を困惑させるようなことだったと思うからです。「なぜそんなムダなことをしているんだ?」と。大切に思っていることを続けてきて、それが今になって実を結び始めただけのことですから。私の考えでは、ベンチャーファンドとして教育に投資する理由は2つあります。

1つ目は、多くの人々から学ばなければ、今の私はなかったということです。カウフマン・フェローズのCEO時代、私は何百人ものイノベーターに「報酬は払えませんが、カウフマンで教えてもらえませんか」とお願いしました。それでも彼・彼女らは自費で航空券を買って教えに来てくれました。スタンフォード大学も同じで、人々は自腹でも教えに行きます。請われる立場にいる自分が幸運だと気づいたからです。私の場合、人に何かを求められたら、それに応える義務があると感じています。

2つ目は、教育機関を運営すると、重要な人々を引き付けることができます。トップレベルの人は皆、同じ哲学をもっているからです。問題解決だけに取り組みたい人たちだけが集まる、心地良い環境で過ごしたいわけです。いたずらに競うことなく、気分よく知識を深められます。11KSは、イノベーターを育てるコミュニティを効果的な方法で体系化し、世の中に提供する手段にすぎません。

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もちろん、注意すべき点もあります。11KSが長期的な視点に立ったものでなくてはいけない、といった点ですね。「取引」ではなく、Sozo Venturesのために何かをするわけではありませんから。あくまで、信頼関係に基づいているのです。11KSが他の組織と比べて優位性があるとすれば、それは伊藤先生や染谷先生が私たちを信頼してくださっているという点です。これは長年にわたる先生がたとの協力関係のおかげです。一緒に組むことになったのは、私たちが彼らを本当に好きで信じているからです。「これで優位に立てる」と思ったわけではありません。

とはいえ、そうした声があることは理解できます。人間の本質ですからね。ベンチャー投資会社であればなおのことです。私たちは数歩先を行っているので、よく批判を受けますよ。不公平だと思う人もいることでしょう。でも、私たちは世界を違う視点で見ているだけです。長い間、見返りなしに11KSの土台に投資し、それがようやく実を結ぼうとしているのです。そういう観点から、“脅威”に思えるのは理解できますよ。

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文 = 井関庸介 写真 = 能仁広之

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